内容説明
現在、国民国家には、批判的再検討が進められている。その批判は、一方でEUなどの国家を越えた広がりを持つ領域からのものであり、他方で国家内もしくは境界地域のある特定の地域からのものである。ただし、おうおうにして広域圏や地域は国民国家と同様な性質を帯びることがあり、これらからの批判が必ずしも有効とは言い切れない。そこで、本書は、ウェールズ、シュタイアーマルク、ヘッセン、バイエルン、ドイツ領ポーランドといった具体的な「地域」を歴史的文脈から分析し、「地域」と国家、さらに帝国の関係、「地域」の政治・文化、マイノリティなどに焦点を当てて、ヨーロッパ近代の捉え直しを試みる。
目次
国民国家と地域を見る視角
第1部 帝国と「地域」(帝国のような地域―ウェールズにおける英語帝国主義;鉄道政策と地域―ハプスブルク帝国・ルドルフ皇太子鉄道の建設と沿線地域)
第2部 「地域」の政治と文化(地域と権力―ヘッセン大公国の一八四八年革命;「歴史政策」と支配の正統性の創出―バイエルン王国・マクシミリアン二世時代(一八四八~六四年)を中心に
啓蒙と涜神のはざまで―十八世紀ドイツ・バイエルンの宗教をめぐる国家の論理と民衆文化
失われた地域―十九世紀ポズナン(ポーゼン)市のバンベル(バンベルガー)をめぐって)
第3部 マイノリティと「地域」(国民国家と地域形成―オーバーシュレージエンを中心に;マイノリティ問題とフォルクの思想―国境地域・外国在住ドイツ人保護運動の思想とその政治的・社会的位相)
帝国・国民国家・地域
著者等紹介
伊藤定良[イトウサダヨシ]
1942年生まれ。1972年東京大学大学院人文科学研究科西洋史学専門課程博士課程単位修得。現在、青山学院大学文学部史学科教授
平田雅博[ヒラタマサヒロ]
1951年生まれ。1983年東京都立大学大学院人文科学研究科史学専攻博士課程退学。現在、青山学院大学文学部史学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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