内容説明
第二次世界大戦後の脱植民地化の過程を経てイギリス帝国は解体し、20世紀末には香港も中国に回帰した。しかし21世紀初頭の現在においても、イギリス帝国の残影は、イギリス本国を含め世界のさまざまな地域に、色濃く存在している。本書では、最大の帝国を保有して大国という過去の記憶を背負ったイギリスのヨーロッパ統合への対応、帝国支配のもとで確保されていた国民国家としてのイギリスの姿の変容、旧帝国諸地域を包含する国際組織としてのコモンウェルスの歩み、香港やオーストラリアとイギリスの関係の変遷などが扱われる。さらに日本でイギリス帝国史を取り上げることの意味を浮き彫りにするため、日英という2つの島国帝国の比較と、日本におけるイギリス帝国史研究の批判的検討も行われている。
目次
総論 現代世界とイギリス帝国の影
第1部 イギリス本国(ヨーロッパ統合とイギリス;多民族・多文化国家イギリス;連合王国は解体するか?―スコットランドとウェールズへの権限委譲)
第2部 帝国内諸地域(二〇世紀後半のコモンウェルス―新しい統合の展望;香港の中国回帰;北アイルランド―ユニオニズムと自治のはざまで;燃えるジンバブウェ;オーストラリアの模索)
第3部 帝国の諸相(二つの「島国帝国」―イギリスと日本;帝国主義史から帝国史へ―日本におけるイギリス帝国史研究の変遷)
著者等紹介
木畑洋一[キバタヨウイチ]
1946年岡山県生まれ。1972年東京大学大学院社会学研究科博士課程中退。東京大学大学院総合文化研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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