出版社内容情報
今まさに旬な作家、三浦しをんが書き下ろす新感覚恋愛小説!海外ロマンス小説の翻訳を生業とするあかりは、現実にはさえない彼氏と半同棲中の27歳。そんな中ヒストリカル・ロマンス小説の翻訳を引き受ける。最初は内容と現実とのギャップにめまいものだったが……。
三浦 しをん[ミウラ シヲン]
著・文・その他
こなみ 詔子[コナミ ショウコ]
イラスト
内容説明
あかりは海外ロマンス小説の翻訳を生業とする、二十八歳の独身女性。ボーイフレンドの神名と半同棲中だ。中世騎士と女領主の恋物語を依頼され、歯も浮きまくる翻訳に奮闘しているところへ、会社を突然辞めた神名が帰宅する。不可解な彼の言動に困惑するあかりは、思わず自分のささくれ立つ気持ちを小説の主人公たちにぶつけてしまう。原作を離れ、どんどん創作されるストーリー。現実は小説に、小説は現実に、二つの物語は互いに影響を及ぼし、やがてとんでもない展開に!注目の作家、三浦しをんが書き下ろす新感覚恋愛小説。
著者等紹介
三浦しをん[ミウラシオン]
1976年、東京生まれ。早稲田大学卒。就職活動中に才能を見出され、2000年、長篇小説『格闘する者に○』でデビュー
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
514
しをんさんの(BLではない)恋愛小説。ひと組は中世のイギリスの騎士と美しき女性領主、もう一組は現代、女性翻訳家とそのちょっと頼りない彼氏とのスパイラル構成。どうなってんの?と思われたそこのあなた、ぜひお手に取ってみて。初期の作品だが、しをんさんらしいユーモアに満ち溢れた今作。え、こんなの書いちゃっていいの?的なお色気も。2022/02/09
ヴェネツィア
455
文体も雰囲気もライトノベル感が漂う。もっとも、ライトノベルにしてはいささか過激な性描写があるのだが。あるいは昨今ではこれしきは常識の範囲内かも知れないが。さて、本作は、主人公あかりが翻訳している英国中世騎士道ロマンス小説と、あかりと神名の日常という二つの舞台があり、それらが並行して進んで行くといった特異な設定がなされている。その試み自体は成功していると思うが、残念ながら恋愛小説(編集部の依頼はこれだったらしい)としては、ロマンス小説の方はともかく、現代版の方の結末に不満が残る。神名の放浪云々発言も⇒2025/03/07
青葉麒麟
436
あまあまのベッタベタなロマンス小説がどんどん創作翻訳されて内容が変わって行くのが面白かった♪【ウォリック】よか【シャンドス】の方が好きだなぁ。2011/12/18
にいにい
390
流石、三浦しおんさん。三浦さんの恋愛小説は、こんなにも面白いんだ。翻訳者の現実逃避による妄想がロマンス小説を訳すんじゃなく、創作する。それが、三浦さん風のロマンス小説!あっちの方に向いていく。初めてロマンス小説楽しんじゃった。この創作の結末の方が、原作よりもヒットするんじゃないかなあ?。あとがきにある恋愛観もいい~。神名の生き方、あかりの受け方、あったらいいなぁ~。本当に面白い一冊。三浦さんの作品は、時々、思い出したように読むのに最適(●^o^●)。2016/01/16
さてさて
388
『これはもう翻訳じゃない。完全に私の創作物になっている』と、翻訳業を忘れて創作にのめり込むあかり。そんなあかりの日常生活と中世の歴史小説が一冊の本の上で同時に展開するというなんとも贅沢なこの作品。極めて庶民的な現代社会の描写と、極めて格調高い世界中世社会の描写が交互に読者の前に姿を表すこの作品。一冊の本を読んだだけなのに、読み終わったのはまさに二冊分の物語だったというこのお得感。二冊分のそれぞれ異なる読後感が読み終わった瞬間に同時に心を支配するというなんとも不思議な経験ができた、とても興味深い作品でした。2021/06/01
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