内容説明
新田義貞(一三〇〇頃~三八)、鎌倉後期から南北朝期の武将。これまで新田義貞は勤王の面を強調されることが多かったが、本書では源氏嫡流家を背負った人物として、その切り開いた政治的世界を捉えなおす。南北朝内乱により一躍中央に出た義貞とその一族の行動と規範にも迫る。
目次
第1章 新田氏の家系
第2章 長楽寺再興の政治ドラマ
第3章 新田義貞の鎌倉攻め
第4章 鎌倉滞在
第5章 建武政権下の新田義貞
第6章 一三三六年の戦況と政局
第7章 北国経営の途絶
著者等紹介
山本隆志[ヤマモトタカシ]
1947年群馬県生まれ。1971年東京教育大学文学部卒業。1976年東京教育大学文学研究科修士課程修了。筑波大学人文社会科学研究科教授。博士(文学)(筑波大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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叛逆のくりぃむ
11
新田義貞が目指した政治的次元に焦點を當て生涯を記述してゐる。挫折したとはいえ、越前國府を中核とした北陸管領府の構想は非常に興味深い。2015/10/28
フランソワーズ
10
荘園を御専門にされている方らしい、所領の関する論述が多い義貞の評伝。足利尊氏のライバルとして名高いが、こうして見てみると、「格」の違いが明白。後醍醐によって足利氏討伐の急先鋒に任じられるのが気の毒なほどで、政治的にもその格差が終始足を引っ張り、宮方・南朝の軍事上最高指揮官として失格の烙印を押される結果に。しかも楠木正成や北畠顕家といった名将がいることで、愚将のイメージがまとわりつく。鎌倉を陥落させたことで一挙に期待値が上がってしまったことも、周囲の彼に対するハードルを上げてしまったのではないか。2024/09/08
いきもの
6
鎌倉を落とし、南朝中核的の将となった新田義貞とその一族について。一次資料を原則中心としているため、やや読みにくくドライな印象。南北朝騒乱の前から分家が力をつけ、足利方につくものも多かった新田一族。将としてそれなりだが、総合力や政治力に欠ける新田義貞。何だかんだで後醍醐天皇に振り回されてる感じが可哀想。2024/02/27
邑尾端子
4
新田義貞は、明治から戦前までは「忠臣の鑑」として祭り上げられ盛んに賛美されたが、その反動からか戦後はガクンと評価が下がり歴史人物としてもあまり注目されなくなってしまったという印象がある。そんな義貞の実像を再び史学として明らかにしようという一冊。越前に新たな政治圏を創ろうとしていたという話が面白い2013/12/26
でん
0
新田義貞とはなんだったのか・・・2012/11/16