出版社内容情報
劇的なる人生、今なお物語はつづく。
内容説明
乃木希典(一八四九~一九一二)軍人。西南戦争また日露戦争における不面目を自責し切腹を望むも、天皇は「強ひて死せんと欲するならば宜しく朕が世を去りたる後に於てせよ」とこれを許さず。同帝崩御直後、妻とともに自害を果たした。長く日本人を捉えてきた“乃木物語”の祖型。その内部の生に迫る。
目次
序章 みんなの“乃木さん”
第1章 鬼神と小児―日露戦後、そして少年期
第2章 名将か愚将か―その軍歴
第3章 詩人の霊夢―青年期を中心に
第4章 歌われる“乃木”―晩年、そして死後
第5章 “乃木式”の世界
第6章 祭られる“乃木”
第7章 論議される“乃木”
第8章 劇的なる乃木
終章 二人の天皇と乃木
著者等紹介
佐々木英昭[ササキヒデアキ]
1954年生まれ。1982年東京大学大学院(比較文学・比較文化研究科)修士課程修了。1992年博士(学術)号(東京大学)取得。東京工業大学助手、名古屋工業大学助教授などを経て、龍谷大学国際文化学部教授。著書に『「新しい女」の到来―平塚らいてうと漱石』名古屋大学出版会、1994年(第一回比較文学会賞受賞)など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
8
乃木希典・・・ なんとも複雑な人です。 出会った人を次々と魅了するオーラを持ち、自らを律する精神力を持ち、自分の中の弱さを忌み嫌い、残酷さと優しさを持ち、国家上げての人気者となって注目の的になってもも奢らず、腐らず。司馬遼太郎さんが叩く材料に使った軍人としての悪評が、あまり根拠がないとわかった今、このかつて神となった人間はこの先どのように評価されるべきなのか。ちょっと悩む。個人的に言うと、こんな堅っ苦しい人間はあまりそばにいて欲しくない。ただし、客観的な人間としての評価は別ものかな。2010/12/31
Yuuki Takanokura
1
明治の人々が乃木希典をどのように評価していたのか,乃木希典の影響力を浮き彫りにした論説。乃木希典がいかに慕われ,敬愛されていたかが分かると同時に,つくられた乃木希典像と実際の乃木希典の姿との対比もおもしろい。2010/09/01
太郎
0
180ページほど講読。史料研報告にて使用。 乃木の死生観がわかりやすくまとめられた本。 家族が多く死に、乃木本人の死生観も人とは異なり、生と死の区別がはっきりしていなかった。2025/05/17
-
- 和書
- いっしょだよ