出版社内容情報
明治期日本を救った財政の天才その生涯
内容説明
松方正義九〇年の人生は、欧米諸国のアジア進出に対抗して、日本が鋭意近代化に取組んだ苦難の歴史と重なっている。松方が、日本をどのような国と認識し、近代化という時代の大波の中で日本をどのような国に育て上げ、激動する国際環境に対してどのような国家政策を実行すべきであると考え、行動したのだろうか。松方とともに、疾風怒涛の近代の海へ船出し、その軌跡を追ってみることにしたい。
目次
序章 財政の天才
第1章 薩摩藩官僚として海軍を志す
第2章 富国強兵国家への参画
第3章 大隈路線への挑戦
第4章 松方財政の実像
第5章 初期議会から日清戦争へ
第6章 戦後経営構想と金本位制度への移行
第7章 元老として国家に尽くす
終章 松方の人物と生涯
著者等紹介
室山義正[ムロヤマヨシマサ]
1949年生まれ。東京大学大学院経済学研究科修了、経済学博士。拓殖大学政経学部助教授などを経て、九州大学大学院経済学研究院教授
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感想・レビュー
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みず
2
欧米諸国に追いつけ追い越せで近代化を進め、国家の独立を保つために必要なものが、お金。西南戦争、日清、日露のお金の調達、外債に反対し、「松方デフレ」による紙幣整理と銀本位制の確立、そして金本位制の確立。 今まで松方さんは優柔不断なイメージでしたが、この本を読んでそれは払拭されました。有事には果断に行動し、国家の財政危機を幾度となく救っていました。 健全な財政経済政策と、国際的には正義と信義に基づいた対外政策が信念。名声を得ようという気持ちはなく、国家のために動いた、素晴らしい政治家の方だと思いました。2024/05/12
なつを
2
松方デフレを引き起こしたというマイナスイメージを日本史の教科書の1文だけで抱いてしまっていたことを後悔した。日本にとって必要なのが何なのかをしっかりと考えた上で、周囲の反対を押しきり政策を実行した松方正義という人物がいかに財政に関して天才的な才能をもっていたのか、彼の経歴をみるだけでも明らか。奇策に頼らず、信義を重んじる。覚えておきたいと思う。2014/02/09
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