内容説明
日本経済は90年代から続いている長期低迷から脱却できずに、その出口を模索している。地価の下落が続き、銀行には不良債権という重荷がのしかかったままである。物価の下落にも歯止めがかかっていない。政府もゼロ金利政策や度重なる財政出動によってこのような状態からの脱却を試みてきた。しかし「資産デフレ」を克服するまでには至っていない。なぜ、このようなスランプが10年以上の長期にわたって続いているのだろう。本書の主眼は、この点の解明にある。90年代以降、日々の経済活動とそれを支える諸制度は、どのような特徴を有し、どのように変化していったのか、それを戦後の日本経済の歴史の流れのなかで多面的にとらえることによって、長期低迷のメカニズムが浮かび上がってくる。
目次
戦後日本経済の足跡
日本の金融システム
日本の財政の現状と課題
マクロ安定化政策の特徴と評価
技術革新
産業組織・企業経営
産業構造の変化と地域経済
変化する労働市場
環境問題と経済学
消費と貯蓄
社会保障
貿易・直接投資・援助
国際金融
日本経済の再生に向けて
著者等紹介
植松忠博[ウエマツタダヒロ]
1943年東京都生まれ。1967年京都大学文学部史学科卒業。1972年京都大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。現在、神戸大学大学院経済学研究科教授
小川一夫[オガワカズオ]
1954年兵庫県西宮市生まれ。1982年米国ペンシルバニア大学修了。Ph.D.現在、大阪大学社会経済研究所教授
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