出版社内容情報
近代初頭からの商人資本の優越性を実証する。
内容説明
戦後わが国で長く支配的であった国内市場重視、産業資本中心の信用制度論に対し、18世紀初頭に金本位制に移行して、産業革命以前にロンドン金融市場の基本的骨格を形成し、シティの国際性を体現したイングランド銀行の割引手形の中心が外国為替や貿易手形であった諸事実から、工業地方・シティ・海外を取り結び、多角的決済システムの中枢に位置するロンドン商人を中軸に据えた近代的信用制度論を提示する。近代初期より一貫して商人資本が優先し、産業資本が劣後したイギリス資本主義の特質と近代初期金融革命との関連を明らかにして、近年支配的学説となりつつある「ジェントルマン資本主義論」を実証的に補強する精密な研究である。
目次
第1章 近代初期イギリスにおける商人の手形取引・金融業務(ロンドン・メトロポリタン・マーケットと銀行業の生成―E.ケリッジ説の検討;ブリストル商人ジョン・スミスの債務証書・手形取引(1538‐1550年) ほか)
第2章 近代初期ロンドンをめぐる国際的多角決済システムの構造(イギリスの貿易収支と鋳貨・地金輸出;ロンドンをめぐる多角的決済システムの構図 ほか)
第3章 イギリス近代における為替手形の性格(イギリス近代的信用制度論と為替手形;イギリス近代初期の為替契約と為替手形 ほか)
第4章 イギリス「産業革命」期におけるロンドン宛為替手形と商人資本の優越―『製造業・商業・海運業』委員会報告(1833年)の検討(近代的信用制度論と産業資本;イギリス近代における為替手形の性格 ほか)
第5章 シティ鳥瞰―イギリス貨幣・金融史断章(イギリス貨幣・金融史の特異性;国際通貨ポンド体制下のシティ ほか)
著者等紹介
楊枝嗣朗[ヨウジシロウ]
1943年兵庫県に生まれる。1966年大阪市立大学経済学部卒業。1971年同大学院経営学研究科修士課程修了。1971年東北大学経済学部助手。1974年佐賀大学経済学部講師。1986年同教授、現在に至る
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