出版社内容情報
絶頂とされる20世紀への転換期の帝国史。
内容説明
「パクス・ブリタニカ」の絶頂とされる20世紀への転換期を扱う本書では、「世界の工場」から「世界の銀行」へという本国側での周知のテーゼだけでなく、伝統的な帝国支配に抵抗する植民地側、とりわけ南アフリカ、オーストラリア、インド、アイルランドなどでのナショナリズムの成長の動向を探る。「本国から帝国へ」の規定性と、「帝国から本国へ」のそれとを対置することで、世紀転換期を「帝国=コモンウェルス体制」を生みだすダイナミックな過渡期としてとらえることができよう。帝国の絶頂とは、発展要因と没落要因とのせめぎ合いが、逆転寸前にまで立ち至った状態に他ならず、双方の要因を、外交、日英同盟、ミッションなども含めた広い視野から描きだす。
目次
総論 世紀転換期のイギリス帝国
第1部 イギリス本国(チェンバレン・キャンペーンに現れた「帝国」と「自由貿易」;自由党政権下における金融帝国の確立;世紀転換期のアイルランド問題;帝国再編への萌芽)
第2部 帝国内諸地域(オーストラリア連邦の成立;南アフリカ連邦の形成;イギリスのインド収奪構造と反英ナショナリズム)
第3部 帝国の諸相(ポルトガル領アフリカをめぐる外務省と植民地省の対立―第一次世界大戦前夜の帝国問題と外交政策;日英同盟締結と帝国日本;世紀転換期のミッションとイギリス帝国)
著者等紹介
木村和男[キムラカズオ]
1947年北海道生まれ。1973年東北大学大学院文学研究科博士課程中退。博士(文学)。現在、筑波大学大学院人文社会科学研究科教授
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