出版社内容情報
【内容】
本書は、明治から昭和初期までの政治思想をアイデンティティの観点から照射している。まず第一章では、主要な思想家のナショナリティをめぐる言説を分析して、「国体ナショナリズム」の特徴を解析する。第二章では、植木枝盛の自我表現にみられるアイデンティティ模索と、天皇との一体化による急進的政治思想の展開を追う。さらに第三章で、中江兆民が『三酔人経綸問答』にこめた意図を解明して、「リベルテ・モラル」(道徳的自由)の歴史的意義を説く。第四章では、初期徳富蘇峰の「平民主義」の挫折を論じて、ナショナリストに変貌していく理由を説明し、日清戦争後の蘇峰のナショナリズムを、チャールズ・テイラーの「認知」(recognition)の概念にもとづいて解明。第五章では、マーティン・ジェイの大著『マルクス主義と全体性』に示唆されて、「西欧マルクス主義」を補助線にしながら、河上肇を素材に日本マルクス主義の成立過程を追跡する。
【目次】
凡 例
近代日本のアイデンティティと政治――序にかえて
第1章 国体論と市民宗教のあいだ
――ナショナリティをめぐって
はじめに
1 「国体」と「ナショナリチ」の発見
2 「国体」の公定化
3 国体論批判の位相
4 大正デモクラシーと国体論
おわりに
第2章 自由民権期の自我とアイデンティティ――植木枝盛
はじめに
1 民権家への歩み――内的過程
2 自我形成
3 政治思想の形成
おわりに
第3章 パロディの精神――『三酔人経綸問答』を読む
はじめに
1 〈奇人〉伝説の成立
2文体とテクスト
3 パロディの精神――紳士君
4 パロディの精神――豪傑君
5 ふたつの「平民主義」
おわりに
第4章 ナショナリズムの隘路――徳富蘇峰
はじめに
1 「平民主義」の挫折
2 「膨張」する「大日本」
おわりに
第5章 日本マルクス主義の形成――河上肇
はじめに
1 経済と道徳
2 「唯物史観」と道徳
3 「唯物史観」と社会主義
4 福本イズム
おわりに
あとがき/索引
内容説明
本書は、明治から昭和初期までの政治思想をアイデンティティの観点から照射している。
目次
近代日本のアイデンティティと政治―序にかえて
第1章 国体論と市民宗教のあいだ―ナショナリティをめぐって
第2章 自由民権期の自我とアイデンティティ―植木枝盛
第3章 パロディの精神―『三酔人経綸問答』を読む
第4章 ナショナリズムの隘路―徳富蘇峰
第5章 日本マルクス主義の形成―河上肇
著者等紹介
米原謙[ヨネハラケン]
1948年徳島市に生まれる。1972年大阪大学法学部卒業。1980年大阪大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。1980年以降、下関市立大学経済学部講師、助教授、大阪大学教養部助教授を歴任。その間、パリ第四大学(フランス政府給費留学生)、東京大学法学部(文部省内地研究員)、パリ政治学院(客員研究員)などで研究に従事。現在、大阪大学大学院国際公共政策研究科教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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