出版社内容情報
【内容】
利害関心を共有している人々(潜在的受益者)の集団が大規模な場合、その集団の利害の実現が困難であることを指摘し、説明を試みたのが経済学者のオルソンであった。集団規模と集団目標の実現との関係に関するオルソンの理論は、政治的抗議運動のような集合行為の成否に関しても応用された。また、マイクロ―マクロリンク、社会的ジレンマ、社会運動などに関する社会学的研究にも大きな影響を与えた。本書は、オルソンが提起した問題「集団規模と集団目標の実現との関係」について、数理社会学的な手法を用いて考察を行い、「大集団の失敗」という社会現象を分析する。
【目次】
まえがき
第1章 オルソン問題――集合行為と集団規模
1 本書の目的
2 Olsonの理論の主題
3 「オルソン問題」の概念的整理
4 補 論
第2章 オルソン問題の社会学的意義
1 マイクロ―マクロ問題としてのオルソン問題
2 社会的ジレンマとしてのオルソン問題
3 社会運動論におけるオルソン問題――資源動員論との関係
第3章 Olsonの数理モデルとその問題点
1 Olsonの数理モデル
2 Olsonの数理モデルの問題点
3 代替モデルの条件
第4章 オルソン問題のゲーム理論的定式化
1 定式化の基本枠組み――誘因、ナッシュ均衡、パレート効率性
2 集合行為の類型化
第5章 ゲーム理論的モデルによる集団規模の効果と考察
1 タイプA1(1)――非競合的集合財、利益、コストは貢献者数にかかわらず一定
2 タイプA1(2)――非競合的集合財、コストは貢献者数にかかわらず一定、利益は貢献者に比例
3 タイプA2――競合的集合財、コストは貢献者数にかかわらず一定、供給量は貢献者数に比例
4 タイプB1(1)――非競合的集合財、コストは貢献者で等分、利益は貢献者数にかかわらず一定
5 タイプB1(2)――非競合的集合財、コストは貢献者で等分、利益は貢献者数に比例
6 タイプB2――競合的集合財、コストは貢献者で等分、供給量は貢献者数に比例
7 状況の違いと集団規模の効果の要約
第6章 実証的研究と照合の問題
1 社会的ジレンマの実験的研究との照合
2 社会運動の計量社会学的研究との照合
3 オルソン問題に関する実証的研究の展望
第7章 要約と課題
1 議論の要約
2 理論的課題
3 実証的課題
4 結 語
付記/引用文献/索引
内容説明
本書は、オルソンが提起した問題「集団規模と集団目標の実現との関係」について、数理社会学的な手法を用いて考察を行い、「大集団の失敗」という社会現象を分析する。
目次
第1章 オルソン問題―集合行為と集団規模
第2章 オルソン問題の社会学的意義
第3章 Olsonの数理モデルとその問題点
第4章 オルソン問題のゲーム理論的定式化
第5章 ゲーム理論的モデルによる集団規模の効果の考察
第6章 実証的研究との照合の問題
第7章 要約と課題
著者等紹介
木村邦博[キムラクニヒロ]
1958年静岡県生まれ。1981年東北大学法学部法学科卒業。1988年東北大学大学院文学研究科社会学専攻博士後期課程単位取得退学。新潟大学人文学部助手、静岡大学人文学部助教授等を経て、現在、東北大学大学院文学研究科助教授。博士(文学)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。