出版社内容情報
【内容】
心の傷とは何か。そしてそれは,どうすれば癒すことができるのか。そのために自分でできること,他者にしてあげられることは何か。わが国が積み重ねてきた独自の文化のなかで「癒し」を多角的に捉えた生き方を考える
【目次】
1 心の傷はどうしたら癒えるか 野田正彰
震災後の精神的な障害についての調査 根拠のない推測にもとづく調査 「心の傷」とは何か 耐えがたい体験と違う 最初に使ったのはフロイトの「トラウマ」 極限状態をじっと耐える 戦争神経症をどう減らすか など
2 「地獄は一定すみかぞかし」 高史明
親友が仏様になって導く 子を亡くした母の嘆き こちらから向こうを見た悲しみ 一九年前に一人子が自死 人が考える知恵とは何か 釈迦は人の四苦をみつめて出家 抜けた歯を屋根に投げた ご飯の上に箸で「おかあさん」と書く など
3 日本人の心を癒す無常観 山折哲雄
中井久夫編『1995年1月・神戸』 自然によって心癒される 神谷美恵子さんの日記 寺田寅彦の『日本人の自然観』 日本人は自然を師として柔軟に生きる 天然の無常感覚を育てる 自然のなかに神・仏を感じる宗教 など
4 人間、最期のことば 笠原芳光
その人らしさを反映する最期のことば 遺書・遺詠 十二万年明月の夜 波多野秋子と情死 睡眠薬自殺した芥川龍之介 人生の戦いに敗れたら父のように自殺せよ 死ぬ間際に本二冊書いた兆民 河盛好蔵訳の『人間最後の言葉』 など
5 生きること死ぬこと 瀬戸内寂聴
庵を結んで二一年 七一歳でなぜ老婆か 肉親の死に目にあってない お座主様危篤の連絡受ける お座主様の枕許へ 二日前にベッドの上で読経 尾座主様の頭をなでる お座主様が導師でサガノサンガ開く 岩手の天台寺復興へ など
6 看とり後の心の癒し――アンケート調査から 藤田綾子・黒田輝政
「心癒されていない」が多数 癒しの条件の考察 病名告知とのかかわり 宗教とのかかわり 病名認識で別れの言葉異なる 看とりを人生のプラス経験に
目次
1 心の傷はどうしたら癒えるか
2 「地獄は一定すみかぞかし」
3 日本人の心を癒す無常観
4 人間、最期のことば
5 生きること死ぬこと
6 看とりの後の心の癒し―アンケート調査から