出版社内容情報
「スコットはこの最後の書で、研究者にとって最も難しいことに挑んでいる。人間だけでなく、あらゆる生命を包括した歴史をいかに書くか、という試みだ」
リチャード・ホワイト(スタンフォード大学)
「良書は新しい知識を教えてくれる。名著は世界の新しい見方を啓いてくれる。本書は後者だ」
リン・チャン(ハーバード大学)
「川は、長い目で見れば、生きている。生まれる。変化する。流路を変える。海への新しいルートを築く。…擬似的な自然死もする。傷害を受けて殺されることさえある。…
人間の伝記という概念が個人の寿命という視点で考えることを強要してくるのとまったく同じで、川の伝記という感覚は、時間のレンズを拡大して「川の時間」で考えることを求めてくる。…
川というものを、水の流れやシルト、砂、粘土、砂利など、川とよぶすべての要素に依存する生命体のアッサンブラージュ(集合体)として考えるなら、この存在についての概念は、必然的に、すべての支流とすべてのデルタ分流を含むものになる。…こうした事実からは、全体をひとつのシステムと捉える見方が求められる。
川は…アントロポセンやグレートアクセラレーションに関心のある者に、人間が自然のプロセスに介入してきたことの影響、その複雑さも変動性もほとんど理解しないままに制御し、飼い慣らそうとしてきたことの影響について、衝撃的な実例を提供してくれる」(はじめに)
【目次】
まえがき
謝辞
はじめに――川についてひとこと
第1章 川――時間と運動
動きとしての川
河川時間を考える
川は流れることで自分の道筋を作る
運動としての蛇行
変身する川と100年に一度の洪水
第2章 洪水礼讃――川とともに動く
洪水パルス
生命運動のメトロノームとしての洪水パルス
種間アシスト付きの運動
河川棲生物としての初期人類
定住と川
第3章 農業と川――長い歴史
幕間 エーヤーワディー川への招待
地域の精霊、地域の声
川と精霊信仰
合流点ミッソンの土着ナッ
シングーの下流
移住したナッ
エーヤーワディー川の流域
広大な氾濫原をもつ遅い川
季節性
堆積物パルス
沖積島
第4章 介入
漁獲量の減少――密漁と汚染
エーヤーワディー川への産業規模での影響
第5章 ヒト以外の種
カワゴンドウ Orcaella brevirostris
トールバーブ Tor yingjiangensis
ヒルサ Tenualosa ilisha
ホワイトジンジャー Curcuma candida
貝類 Lamellidens mainwaringi
アジアヘビウ Anhinga melanogaster
ビルマオオセタカガメ Batagur trivittata
スマトラカワウソ Lutra sumartana
第6章 医原性効果
農業と林業
飼い慣らされた家畜と水産養殖
飼い慣らされた川
川の痛みは医原性
人間中心主義アントロポセントリズム
ほかの生物についてはどうなのだろう
ソフトパス河川工学か、ハードパス河川工学か
索引
原注
図表一覧
図版クレジット
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