出版社内容情報
「ハーシュマンは人間の欠点を嬉しがり、そしてそれ以上に、人間の創造性を讃えた」C・サンスティーン(ハーバード大)。名著復活。
「ハーシュマンは驚きと意外性とパラドックスを愛した。彼は人間の欠点を嬉しがり、そしてそれ以上に、人間の創造性を讃えた」
キャス・サンスティーン(ハーバード大学ロースクール教授)
「20世紀のもっとも桁外れの知性のひとりだ」
マルコム・グラッドウェル(『ティッピング・ポイント』)
本文より。
「創造力はいつも不意に現れる…だからこそ人は、あらかじめ創造力を当てにすることは決してないし、実際に発揮されるまでその存在を信じようともしない…人が新しい仕事に飛び込んでいくのは、困難を受けて立とうとするからではなく、逆にその仕事が簡単で対処しやすく見える、つまり困難がないと誤解するからである」
「戦争に向かっていった出来事を振り返るとき、歴史家が〈過ちに手を染めてしまったのは、「つまずいてしまった」からだ〉という見方を示してくれると、私たちはほっとする。だが反対に経済的・社会的・政治的進歩といった高邁な成果については、決して「つまずきの結果」であったとは認めようとしない。人は「うっかり間違いを犯す」とは言っても「うっかり真理に達する」とは言わない」
「以上の経済学的議論は、キリスト教で顕著に見られる選好――高潔な人格者よりも懺悔する罪人を尊しとする考え方――に驚くほど類似している。ニーチェの箴言「私を破壊し尽くさないものが、私を強くする」は、本書で取り上げた開発プロジェクトの歴史を見事に要約している」
【目次】
新版(1994年)へのはしがき――密かな野心
序文 カーミット・ゴードン
著者による謝辞
序章
第一章 「目隠しの手」の原理
第二章 不確実性
様々な不確実性
供給面の不確実性――技術
供給側の不確実性――組織運営
供給面の不確実性――資金
超過需要
需要不足
余談――研究・開発(R&D)戦略
不確実性の緩和
第三章 許容性と規律
空間的許容性/場所的許容性
建設プロジェクトにおける時間的規律
建設から操業に至るまでの時間的規律
汚職への許容性
質を量で代替することへの許容性
政府支出を民間支出で代替する許容性
第四章 プロジェクトの設計(デザイン)――特性受容と特性形成
設計のジレンマ
暗黙の特性形成――ナイジェリアでの失敗
誘発される特性形成
混合体(ハイブリッド)としての独立機関
第五章 プロジェクトの評価――副次効果の重要性
必須要件としての副次効果
純粋な副次効果、混合的な副次効果
副次効果を通じて密かにもたらされる変化
費用便益分析と副次効果に対する反論
批判への反論
プロジェクト計画における謙虚さと野心
異端が開く可能性――訳者あとがきに代えて 佐藤仁
索引
原注
目次
序章
第一章 「目隠しの手」の原理
第二章 不確実性(様々な不確実性;供給面の不確実性―技術;供給側の不確実性―組織運営 administration;供給面の不確実性―資金;超過需要;需要不足;余談―研究・開発(R&D)戦略
不確実性の緩和)
第三章 許容性と規律(空間的許容性/場所的許容性;建設プロジェクトにおける時間的規律;建設から操業に至るまでの時間的規律;汚職への許容性;質を量で代替することへの許容性;政府支出を民間支出で代替する許容性)
第四章 プロジェクトの設計―特性受容と特性形成(設計のジレンマ;暗黙の特性形成―ナイジェリアでの失敗;誘発される特性形成;混合体(ハイブリッド)としての独立機関)
第五章 プロジェクトの評価―副次効果の重要性(必須要件としての副次効果;純粋な副次効果、混合的な副次効果;副次効果を通じて密かにもたらされる変化;費用便益分析と副次効果に対する反論;批判への反論;プロジェクト計画における謙虚さと野心)
著者等紹介
ハーシュマン,アルバート・O.[ハーシュマン,アルバートO.] [Hirschman,Albert O.]
1915‐2012。ドイツ・ベルリンにて生誕後、ベルリン大学、パリ高等商業学校、LSE(ロンドン政治経済大学院)を経て、トリエステ大学にて博士学を取得。1941年にはナチ旋風吹き荒れる欧州からアメリカへと亡命、カリフォルニア大学バークレー校にてフェローに就任。米国連邦準備銀行に勤務し、その後、南米コロンビアの経済顧問として実務にも携わる。1956年より、イェール大学、コロンビア大学、ハーバード大学などで教授職を歴任し、1974年からはプリンストン高等研究所教授に着任。開発経済学のパイオニアの一人であり、政治学や社会学など多様な分野を越境した研究者として知られ、熱狂的ファンが多い。米国社会科学研究評議会は、彼の功績を称えて2007年に社会科学分野の最も権威ある賞「アルバート・ハーシュマン賞」を創設し、その名を刻んだ
佐藤仁[サトウジン]
1968年生まれ。東京大学東洋文化研究所・教授。東京大学教養学部教養学科(文化人類学)卒業、同大学院総合文化研究科博士課程(国際社会科学)修了。ハーバード大学ケネディー行政学大学院修士課程修了。学術博士。東南アジア地域を対象とする開発と環境保全の関係を研究。プリンストン大学国際公共政策大学院やコロンビア大学気候大学院で客員教授を歴任。第10回日本学士院学術奨励賞、第28回国際開発大来賞などを受賞
杉浦菜月[スギウラナツキ]
1998年生まれ。慶應義塾大学文学部人文社会学科(社会学)卒業、東京大学大学院新領域創成科学研究科修士課程(国際協力学)修了。国際協力学修士。2023年に三菱総合研究所に入社。2025年より経済産業省GXグループ地球環境対策室にて、気候変動交渉全般や日本の気候変動適応ビジネスの海外推進に従事している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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