出版社内容情報
「移植は奇跡である。しかし、その本質は、強さと弱さ、強い個性と重大な欠点を持つ人々により行われる真剣な試みに他ならない。そして、私もそうした人々の一人である」
デヴィッド・ワイルは移植医にして、スタンフォード大学病院をはじめ数々の病院で、ディレクターとして肺移植プログラムの指揮に携わってきた。ワイルは誰がいつ移植を受けるかの判断を担い、チームとともに術後の回復を管理し、患者の退院後もケアを行う。患者が移植の待機リストに入った瞬間から残りの人生を終えるまで、一貫してケアしつづけるのだ。
がんを患っている患者、二度目の移植手術に臨む患者など、移植を受ける患者の問題。さらに、肺を提供する人の家族たち、移植プログラムに従事する同僚たちの想いが、移植医療の現場をドラマティックに動かしていく。
奇跡のような回復、悲劇のような悲しい別れ、そして燃え尽き――。移植医療は神がかり的で、人間的だ。肺移植に人生を捧げた医師が、その内幕を赤裸々に綴るノンフィクション。
【目次】
まえがき
第I部
第II部
第III部
エピローグ
謝辞
解説(仲野徹)