出版社内容情報
第二次世界大戦後、日本は過度な再軍事化を志向せず、日本国憲法も戦争放棄を定めている。しかし、地域及び国際情勢が厳しさを増すなかで、国内外の多くの人々は、日本はやがて「普通の国」となり、軍事大国への道をふたたび歩むだろうと予測してきた。これまで、そうした予想は外れているが、それはなぜか? 果たして今後は?
広島に学んだ注目の米研究者が、日本が再軍事化に消極的である理由について、人口動態と安全保障の関係性を切り口に、斬新な視角を提示する。高齢化(「老い」)と人口減少という物質的な制約、および憲法9条や「成熟」した平和運動・言説が生む概念上の抑制が独自の「非軍事主義の生態システム」を形づくり、再軍事化を阻んでいる――。その実態を、各種統計データ、および日本の政治家や官僚、自衛隊関係者、研究者、メディア人、博物館・資料館長、平和運動家やNPO指導者ら70人以上へのインタビューから解き明かし、戦後日本の平和の実相に迫る。ロシアのウクライナ侵攻、日本被団協のノーベル平和賞受賞ほか近年の変化を踏まえた「日本語版に寄せて」を収録。
「日本の読者が本書を……不安定さを増す世界にあって安全保障に貢献してきた非軍事主義という困難な道のりへの肯定なのだと受け止めてくれるように私は願っている」(「日本語版に寄せて」より)
【目次】
日本語版に寄せて
序文
第一章 老いゆく日本、成熟した平和
第二章 多元的な軍事主義
第三章 誰が戦うのか? 自衛隊を襲う人口減少危機
第四章 技術やインフラ上の制約と自衛隊の能力不足
第五章 非軍事主義と抑制の政治
第六章 平和文化と規範的な抑制
第七章 さまざまな軍事主義の中で構築する平和
第八章 しなやかに老いる
訳者あとがき
図表一覧
付録A 日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の骨子
付録B 日本の平和博物館と戦史博物館
参考文献
原注
索引
内容説明
平和は続くのか?少子高齢化と諸規範が形づくる日本独自の「非軍事主義の生態システム」とは?広島に学んだ注目の米研究者が、各種統計データに加え、元防衛相から被爆者に至る70人超のインタビューをもとに解き明かす。
目次
第一章 老いゆく日本、成熟した平和
第二章 多元的な軍事主義
第三章 誰が戦うのか?自衛隊を襲う人口減少危機
第四章 技術やインフラ上の制約と自衛隊の能力不足
第五章 非軍事主義と抑制の政治
第六章 平和文化と規範的な抑制
第七章 さまざまな軍事主義の中で構築する平和
第八章 しなやかに老いる
著者等紹介
リ,トム・フォン[リ,トムフォン] [Le,Tom Phuong]
米ポモナ・カレッジ准教授および政治学科長。明治学院大学国際平和研究所の研究員も務める。カリフォルニア大学アーバイン校修士および博士(政治学)、カリフォルニア大学デービス校学士(政治学および歴史学)。フルブライト奨学生として広島市立大学にも学ぶ。国際交流基金とマンスフィールド財団による「日米次世代パブリック・インテレクチュアル・ネットワーク・プログラム」フェロー、「日米リーダーシップ・プログラム」フェロー、「KSI‐CSIS米韓次世代フェローシップ」フェローなどを経験。2025年に同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科の客員教員。研究領域は、日本の安全保障政策、日米同盟、戦争記憶と和解、スマートシティ、反核運動、人口統計と安全保障。The Jurnal of Asian StudiesやAsia Policyなどの専門誌をはじめ、Foreign Affairs、The Diplomat、“ワシントンポスト”などの一般誌・紙にも寄稿
梅原季哉[ウメハラトシヤ]
広島市立大学広島平和研究所教授。広島市立大学博士(平和学)、キングス・カレッジ・ロンドン修士(現代戦争論)。朝日新聞の長崎支局記者、ブリュッセル、ウィーン、ワシントン、ロンドン特派員などをへて現職。研究領域は、国際関係論、安全保障と軍縮・非核規範、戦争・平和のメディア論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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