出版社内容情報
冒険家、夢想家、作家、政治思想家、音楽家、被迫害者、ジャン=ジャックはそれらの全てであった。スタロバンスキーは、こうした多様な領域にわたるルソーの営為を、厳密なテクストの解読を通して、諸傾向の分散と意図の一貫性の両者のなかに把握する。
ルソーがやむことなくその全生涯を賭して実現しようとしたものは、純粋な自我の確立とその他者による承認であり、それにもとづく人間相互のトータルな理解と交流であり、それこそまさに精神の〈透明〉なのである。ルソーはこのような欲求を疎外するいっさいの〈障害〉に根源的・実存的に対立し、透明なるものを復権しようとする。
スタロバンスキーは、ルソーを崩壊させかねなかった彼の精神的緊張の問題に関心を集中し、その作品群のなかに分け入って、〈透明〉をキイ概念として、精巧で詳細な内面的伝記を構成した。ルソー研究の画期的な業績。
内容説明
矛盾と多様と精神的緊張をはらむルソー固有の世界を、テクストの厳密な内的分析によって、再構成する。
目次
1 『学問芸術論』
2 社会批判
3 孤独
4 ヴェールに被われた像
5 ラ・ヌーヴェル・エロイーズ
6 誤解
7 自伝の問題
8 病
9 終身の禁錮
10 水晶の透明
著者等紹介
スタロバンスキー,ジャン[スタロバンスキー,ジャン] [Starobinski,Jean]
1920年ジュネーヴに生れる。最初医学を学び、後に文学を専攻する。J.ホプキンズ大学、バール大学を経て、ジュネーヴ大学名誉教授。芸術、言語、精神分析などの広い領域にわたって多彩な活動を展開しており、ヌーヴェル・クリティクを代表するもっとも権威ある一人である。2019年歿
山路昭[ヤマジアキラ]
1928年神戸に生まれる。東京大学文学部仏文学科卒業。明治大学名誉教授。2009年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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