出版社内容情報
「痛み」の本質の理解はここ十数年で大きく変わった。17世紀のデカルト以来、「痛みの経路」で多くを説明しようとする古いパラダイムが浸透していたが、最近は脳神経科学と認知心理学を組み合わせた巧みな実験の数々によって知見が深まり、痛みに対処するためのさまざまな実践的アプローチが視野に入ってきた。
痛みは脳でつくられるが、その存在は脳の中だけに閉じてはいない。脳・身体・痛みの関係の本質が新たな常識になれば、より多くの苦痛を軽減することにつながる。本書が啓蒙するのは神経科学以上にそうした本質の認識であり、読み終わるとたしかに、「痛み」と自分の関係が変わっている。
本書では痛みのきわめて多様な側面が取り上げられる。持続性の痛みに対処するために必要なのは、全体論的アプローチだからだ。痛がる脳の最新科学、情動や共感の役割、痛みの社会性、「無痛」の研究、鎮痛薬以外の対処法の展開(認知行動療法から編み物セラピーまで!)……すべての章が、痛みについての新しい理解の扉を開いてくれる。
痛みはあなたを保護する仕組みであり、当事者が痛みに対して主導権を握ることで、痛がる脳はダイナミックに変えられる。読者に手渡されるのは、この知識の力だ。
内容説明
痛みとは、単なる感覚、ではない。感覚‐情動‐思考‐身体知、すべてが混然一体となった、驚くべきもの。痛がる脳の最新科学を知り、生物・心理・社会モデルによる新しい疼痛観を知る。痛みとの関係を根本から変える、エキサイティングな学びの書。
目次
身体の防衛省―そもそも痛みとは何か
無痛の五人組―痛みを感じないとはどういうことか
こっちを向いてよ―注意をそらすことと想像の力
期待の効果―プラセボ、知覚、そして予測
痛みの意味―情動と心理の力
痛みなければ益もなし―苦痛と快楽、そして目的
誰かの「痛い」を知覚する―痛みが伝染する理由
心をひとつに―社会的な痛み
信じることで救われる―信念と枠組み
静かなるパンデミック―持続痛クライシス
暴走する脳―痛みはなぜ残るか
痛みの革命―持続痛をめぐる新たな希望
著者等紹介
ライマン,モンティ[ライマン,モンティ] [Lyman,Monty]
オックスフォード大学医学部リサーチ・フェロー、皮膚科医。オックスフォード大学、バーミンガム大学、インペリアル・カレッジ・ロンドンに学ぶ。タンザニアの皮膚病調査についてのレポートで2017年にWilfred Thesiger Travel Writing Awardを受賞。デビュー作The Remarkable Life of the Skin:An Intimate Journey Across Our Surface(Bantam Press,2019)(塩崎香織訳『皮膚、人間のすべてを語る』みすず書房、2022)は英国王立協会科学図書賞の最終候補作になるなど高い評価を得ている
塩崎香織[シオザキカオリ]
翻訳者。オランダ語からの翻訳・通訳を中心に活動。英日翻訳も手掛ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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