帝国の疫病―植民地主義、奴隷制度、戦争は医学をどう変えたか

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帝国の疫病―植民地主義、奴隷制度、戦争は医学をどう変えたか

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  • サイズ 46判/ページ数 368p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622096757
  • NDC分類 498.6
  • Cコード C0022

出版社内容情報

18世紀、悪名高い奴隷船ブルックス号で、奴隷たちが次々と死亡した。船医トロッターは、監禁による極度の過密状態、換気の悪さ、運動の禁止、栄養状態が、病の集団発生の原因であることを突き止めた。
奴隷船や監獄に閉じ込められ、疫病にかかった多くの人々の観察をもとに、疫学は大きな発展を遂げた。植民地の官僚機構が調査を容易にした。
19世紀、ナイチンゲールはクリミア戦争下の病院において、感染と衛生状態の関連に着目し、公衆衛生に革新的な知見をもたらした。過密空間や不衛生な環境が疫病を蔓延させることは今でこそ常識だが、その重要性を見抜いたナイチンゲールの疫学者としての功績は、「ランプを持つ貴婦人」のイメージの影に隠れた。
植民地主義や戦争が生み出した大量の人々のデータに基づいて、医学が飛躍的に発展したにもかかわらず、かれらの「貢献」は歴史の闇に葬られてきた。奴隷、植民地の人々、兵士、衣服やシーツを洗う洗濯婦などの存在は、疫学が理論化される過程で消えていったのである。疫学の発展を逆側から照射し、知られざるもうひとつの医学史を明らかにする。

内容説明

18世紀、悪名高い奴隷船ブルックス号で、奴隷たちが次々と死亡した。船医トロッターは、監禁による極度の過密状態、換気の悪さ、運動の禁止、栄養状態が、病の集団発生の原因であることを突き止めた。奴隷船や監獄に閉じ込められ、疫病にかかった多くの人々の観察をもとに、疫学は大きな発展を遂げた。植民地の官僚機構が調査を容易にした。19世紀、ナイチンゲールはクリミア戦争下の病院において、感染と衛生状態の関連に着目し、公衆衛生に革新的な知見をもたらした。過密空間や不衛生な環境が疫病を蔓延させることは今でこそ常識だが、その重要性を見抜いたナイチンゲールの疫学者としての功績は、「ランプを持つ貴婦人」のイメージの影に隠れた。植民地主義や戦争が生み出した大量の人々のデータに基づいて、医学が飛躍的に発展したにもかかわらず、かれらの「貢献」は歴史の闇に葬られてきた。奴隷、植民地の人々、兵士、衣服やシーツを洗う洗濯婦などの存在は、疫学が理論化される過程で消えていったのである。疫学の発展を逆側から照射し、知られざるもうひとつの医学史を明らかにする。

目次

序章
第1章 過密な空間―奴隷船、監獄、そして新鮮な空気
第2章 歴史から消された人々―コンタギオン説の衰退と疫学の台頭
第3章 疫学が伝える声―カーボベルデで熱病を追跡する
第4章 記録管理―イギリス帝国における疫学的手法の実践
第5章 フローレンス・ナイチンゲール―クリミア戦争とインドにおける知られざる疫学者
第6章 博愛主義から人種的偏見へ―アメリカ衛生委員会の矛盾した使命
第7章 「歌え、葬られぬ者たちよ、歌え」―奴隷制度、南部連合、そして疫学の実践
第8章 言葉が描く地図―黒人兵、イスラム教巡礼者、そしてコレラ・パンデミック(一八六五‐六六年)
結論―疫学の起源

著者等紹介

ダウンズ,ジム[ダウンズ,ジム] [Downs,Jim]
ゲティスバーグ大学歴史学教授。専攻はアメリカ史、医学と公衆衛生の歴史

仲達志[ナカタツシ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

122
戦争は科学技術を発展させるといわれるが、疫学も同じだ。欧州諸国は植民地での労働力確保のため、大量の黒人を奴隷としてアフリカから移送した。流行病に襲われる原住民に医療支援を行う医師は称賛され、クリミア戦争で負傷兵を看護したナイチンゲールは偉人伝の常連だが、いずれも領土拡張主義がなければ起こらなかった。南北戦争は公衆衛生を広めた反面、アメリカに人種差別を根付かせる一因となった。それによる医学の恩恵を受ける現代人は、犠牲になった無数の人びとに思いを馳せることはない。疑わなかった歴史観を根底から引っくり返される。2024/06/13

TI

9
大著ではあるがなかなか面白かった。疾病が環境を変えることで改善していく様子を最初は奴隷船から、その後戦場の病院などで換気や衛生状態を変え死亡率を改善していく経過を書いている。しかしこの帝国というのはイギリス及びその植民地のことで他の国のことはアメリカくらい。またコッホ、パスツールなどの細菌などの発見やその影響についてはあまり書かれていない。2024/07/04

げんさん

3
ナイチンゲールは細菌は汚物によって生み出されるので、その拡大を防ぐためには衛生対策が欠かせないと訴え続けた。それとは正反対にコッホはコレラ菌が人の体内に存在し、便から検出できることを実証し、不具合のある下水道と衛生対策の不備によって便が水路に漏出し、それが細菌の拡大を引き起こした可能性があることを意味していた。コッホとナイチンゲールは、卵が先か鶏が先かを論じているようなものだった。2024/05/26

Go Extreme

3
国際的な奴隷貿易・植民地主義の拡張・クリミア戦争・アメリカ南北戦争・イスラム教徒の聖地巡礼→医学に重大な影響 社会的変革の同時発生→コンタギオン・感染接触説→疫学的実践 過密な環境と新鮮な空気に関する事例研究→事例が発生した文脈を無視 医師とは別の無名の人々の忘れられた存在・貢献 植民地主義→世界各地で大規模な人間集団を調査対象→疫学的手法の発展に寄与 米国衛生委員会→人種的劣等性に関する思想の先鋭化 大規模な集団を調査対象→感染症の拡大経路を可視化 数値が紡ぎ出す物語→流行の原因と拡大を解明する力2024/05/14

takao

2
ふむ2024/07/05

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