出版社内容情報
「内容でも、議論のスタイルでも、画期的な研究だ」
ダニエル・カーネマン(『ファスト & スロー』『ノイズ』)
本文より――「ずいぶん前から疑問に思っていたのは、安全保障についてでも、貿易についてでも、福祉政策についてでも、なぜこうも多くの政治的意見の対立がいつまでも解消しないのかということである。うまくいくと自信ありげに言いきったことがうまくいかなかったことを示す数々のエビデンスを前にしながら、まちがいを認める政治オブザーバーがめったにいないことにうんざりしていたのだ。…かつて流行した意見を支持した右から左までの全員がばつの悪い思いをする理由をデータはたっぷり示していた。予測の下手さでは保守派もリベラル派と変わらない。…私は愚直な心理学者でなければしないであろうミッションに着手した。さまざまな合理的な意見のもち主全員が同意せざるをえない判断の評価基準を見極め、それによって的確な政治予測に「具体性をあたえる」ことだ。本書はよくも悪くもその結果である」
「専門家の未来予測は、チンパンジーのダーツ投げより当たらない」ことを明らかにした、(ただしそれだけではない)、あまりにも有名な研究をついに邦訳。国家間紛争から経済成長まで、世界のさまざまな事象の確率を専門家に評価させた研究で見えてきた、当てられる専門家とは? ベストセラー『超予測力』の著者が、メディアや政府にチヤホヤされる専門家がいかにいい加減かを明らかにする。
さらに、得られた知見が、民主主義的議論に果たしうる役割も考察し、党派的な議論を解決する、新たな文化的ツールへの道筋も示す。
本書の発見
・総じて自信過剰が見受けられた。専門家は実際以上に自分には将来のことがよくわかると考えていた。
・専門家の成績は全体としてダーツを投げるチンパンジーを上まわったが、僅差の勝利だった。
・歴史を動かす大きい力を大局的に把握する「ハリネズミ」型の専門家は、手元のデータに忠実で、考え方の違う相手にも長所を見出せる、控えめな「キツネ」型の専門家よりも成績が悪かった。
・好奇心、柔軟さ、意見の違いへの並はずれた寛容さが、予測の正確度と予測結果の脆さの自覚の両方に関連していた。
・ハリネズミはつねに最悪の予測者だったわけではなく、キツネもつねに最高の予測者だったわけではなかった。
内容説明
「ずいぶん前から疑問に思っていたのは、安全保障についてでも、貿易についてでも、福祉政策についてでも、なぜこうも多くの政治的意見の対立がいつまでも解消しないのかということである。うまくいくと自信ありげに言いきったことがうまくいかなかったことを示す数々のエビデンスを前にしながら、まちがいを認める政治オブザーバーがめったにいないことにうんざりしていたのだ。…かつて流行した意見を支持した右から左までの全員がばつの悪い思いをする理由をデータはたっぷり示していた。予測の下手さでは保守派もリベラル派と変わらない。…私は愚直な心理学者でなければしないであろうミッションに着手した。さまざまな合理的な意見のもち主全員が同意せざるをえない判断の評価基準を見極め、それによって的確な政治予測に「具体性をあたえる」ことだ。本書はよくも悪くもその結果である」。
目次
1 量で表わせないものを量で表わす
2 ラディカルな懐疑主義者からの自尊心をくじかれる異議申し立て
3 知識の限界を知る―キツネは較正でも識別でもハリネズミよりスコアが高い
4 レピュテーショナル・ベットを尊重する―キツネはハリネズミよりも優秀なベイジアンである
5 反事実仮定を探る―キツネはハリネズミよりも自分の立場を危うくするシナリオにも耳を貸す
6 ハリネズミの反撃
7 柔軟にもほどがあるのを認められるくらいに柔軟か
8 客観性と説明責任の限界を探る
著者等紹介
テトロック,フィリップ・E.[テトロック,フィリップE.] [Tetlock,Philip E.]
ペンシルバニア大学心理学・政治学教授。カナダ生まれ。イェール大学でPhDを取得。カリフォルニア大学バークレー校、オハイオ州立大学で教鞭をとり、現職。スタンフォード大学行動科学先進研究センターのフェロー、ラッセルセージ財団のフェローも務めた。専門は社会・文化心理および意思決定過程。アメリカ心理学学会、アメリカ政治学学会、アメリカ科学振興協会などからの受賞歴多数
桃井緑美子[モモイルミコ]
翻訳家
吉田周平[ヨシダシュウヘイ]
近畿大学理工学部・大学院総合理工学研究科准教授。技術解説を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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