出版社内容情報
「本書の考察の的は、生物的なものと文化的なものとの関係、主体性と社会との関係、記号と対象物との関係、象徴と思考との関係、さらにまた言語内分析の諸問題なのである。したがって、他の分野でのことばの重要性を見いだしている人ならば、言語学者というものが、自分の問題としてみずからに問いかけるに至った疑問のいくつかにどのようにとり組んでゆくものかをご覧になるであろうし、またおそらく、ことばの結構こそ、あらゆる記号体系を限定するものであることに気づかれることであろう」
本書は、ロマーン・ヤーコブソンと並ぶ現代言語学の雄、エミール・バンヴェニストの代表的論文21編を収め、真の創見に満ちた彼の言語学的思想と方法を遺憾なく示すものである。ソシュールの学統をうけ継いだバンヴェニスとの言語学は、ときに専門的・特殊的であっても、決して人間と社会から遊離することはなく、また他の人間諸科学-文化人類学、社会学、歴史学等との連関を絶つこともない。その言語学は狭い専門領域に自閉することなく、フロイトやモース等の思想をも視野に収める広大な知的地平をカバーしている。最近の言語理論に関する簡潔な展望からソシュールの歴史的意味、コミュニケーションの問題、構造と分析、さらに統辞機能、語彙と文化まで、現代の言語学をめぐる《諸問題》をあつかった本書は、今日の《人間と言語・文化》をかんがえる上で必須の一冊であろう。
内容説明
20世紀を代表する言語学者の主著の一冊。ソシュールの歴史的意味、“構造”とは、能動態と中動態、語彙における贈与と交換など、21篇。
目次
1 言語学の変換
2 コミュニケーション
3 構造と分析
4 統辞機能
5 言語における人間
6 語彙と文化
著者等紹介
バンヴェニスト,エミール[バンヴェニスト,エミール] [Benveniste,´Emile]
1902年に生れ。1976年歿。パリ大学高等研究院の比較言語学・イラン語学指導教授、コレージュ・ド・フランス教授を歴任。印欧比較言語学の研究の他にも、ソグド語文書やバクトリア碑文の解読など、秀れた業績がある
岸本通夫[キシモトミチオ]
1918年福岡県に生れる。東京大学卒業。言語学専攻、元甲南大学教授。1991歿
河村正夫[カワムラマサオ]
1924年滋賀県に生まれる。東京大学卒業。元早稲田大学教授。1976年歿
木下光一[キノシタコウイチ]
1928年東京に生れる。アテネ・フランセ卒業。獨協大学名誉教授。フランス語学専攻。2012年歿
高塚洋太郎[タカツカヨウタロウ]
1923年和歌山県に生れる。京都大学卒業。フランス語学・言語学専攻。元関西学院大学教授。1996年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。