出版社内容情報
山本義隆[ヤマモトヨシタカ]
著・文・その他
内容説明
新しい物理学の形成を、圧倒的な臨場感で追体験する量子物理学講義。数々の根本概念の変革が起きた、その特別な時代に沈潜してみる。二人の巨人の思索を軸に、当時の主要論文をつぶさに読み込む。
目次
第1部 量子力学誕生以前(量子という概念の誕生;原子の構造をめぐって;新たなる展開にむけて)
第2部 量子力学誕生以後(量子力学の誕生;量子力学の解釈をめぐって;量子力学の構造と論理;Bohr‐Einstein論争;その後のこと―実験的検証)
付録
著者等紹介
山本義隆[ヤマモトヨシタカ]
1941年、大阪生まれ。学校法人駿台予備学校勤務。科学史家。著書に、『磁力と重力の発見』全3巻(みすず書房、2003。パピルス賞・毎日出版文化賞・大佛次郎賞受賞、2005、英語訳、The Pull of History:Human Understanding of Magnetism and Gravity,World Scientific,2018)、『近代日本一五〇年』(岩波新書、2018、科学ジャーナリスト賞、2019)、『小数と対数の発見』(日本評論社、2018、日本数学会出版賞、2020)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sheemer
16
素粒子論で嘱望された研究者だった著者は、学生運動で逮捕され、出所後に予備校講師をしつつ科学史的な著作を多数刊行・受賞している。79歳頃から本書に着手し2022年に上梓。アインシュタインとボーアを中心核に、量子力学がいかに発展してきたかを、多数の論者の主要論文の数式を避けることなく解説しながら、各論者の思考過程をたどるようにして量子力学全体への理解を深めていく。各論者の考え方への理解が進み、自分の理解がぐっと上がった感じがする。量子力学系の解説本の中では、絶対的なお薦めスゴ本といえる。ただし要数学副読本。2025/04/24
鴨長石
2
著者十八番の科学史本の最新作かと思って読み始めた。しかし実際は数式をふんだんに使った重厚な量子力学の専門書とも言え、悪戦苦闘の末何とか読み終えた。とは言え全体の流れとしては物理学史に沿ってアインシュタインとボーアを中心に当時の趨勢を丁寧に追ったドキュメンタリーともなっている。原典を丹念に読み解くことにより、巷の解釈や論文の誤りさえも指摘しており、唯一無二の書籍と言える。アインシュタインは最終的には量子論で敗れたが、前期量子論においてはボーアを論破していた。やはり20世紀最高の科学者の称号にふさわしい。2023/05/12
con
0
わかりやすい説明で、前期量子力学が理解できた(ような気分になれた)。 ボーアやアインシュタインが考えていたことが手に取るようによくわかる。 朝永振一郎の量子力学と重複する内容もあるが、朝永振一郎を読む前に本書を読んだほうが理解が捗ると思う2023/05/10