出版社内容情報
ヤン=ヴェルナー・ミュラー[ヤンヴェルナーミュラー]
著・文・その他
山岡由美[ヤマオカユミ]
翻訳
内容説明
この本は政治マニュアルではない。私たちには本来の原理について考える時間があり―またその時間をつくるべきでもあり―本書はそこにひとつの可能性を賭けている。この原理は特定の具体的制度や政治の細かいルールを定めているわけではない。それどころか民主主義のあり方はひとつに限られないし、民主主義の営みには複数の方法がある(民主主義を装う方法が複数あるのと同じように)。
目次
第1章 フェイク民主主義―誰もがそれなりの道理をもっている
第2章 現実の民主主義―自由、平等、不確実性
第3章 重要なインフラストラクチャー
第4章 活動の再開
むすび―民主主義に希望をもつべき五つの理由(ただし楽観論にあらず)
著者等紹介
ミュラー,ヤン=ヴェルナー[ミュラー,ヤンヴェルナー] [M¨uller,Jan‐Werner]
プリンストン大学ロジャー・ウィリアムズ・ストラウス記念社会科学教授。オックスフォード大学オール・ソウルズ・カレッジの研究員を務めたほか、数多くの大学で客員教授を歴任。Furcht und Freiheit,Suhrkamp,2019でバイエルン図書賞を受賞
山岡由美[ヤマオカユミ]
津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。出版社勤務を経て翻訳業に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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山口透析鉄
25
市の図書館本で。博士のインタビュー記事、昨年10月の朝日新聞に載っていて、それで借りたと記憶しています。 やはりポピュリズム批判もかなり出てきて、オルバン・エルドアン・トランプやブレグジット等も俎上に上がっています。 英EU離脱、案の定というべきか、良い結果をもたらしているとはいえなくなっていますし。 日本のポピュリズムといえば維新の面々がすぐ思い浮かびます。国民を分断させ、勝手に全件委任されているとするあたりが正に連中の手法で、そのくせ大阪都構想という空疎な政策未満のお題目しか出してこないですし。↓↓↓2025/04/27
Shin
16
原題はDemocracy Rulesで、訳者あとがきにもあるが訳出が難しかったろうと思われる。というのも、本書で丹念に述べられているのは邦題にある「精神」の方であり、しかしながらその精神とルールとはお互いに支えあい、補完しあっているからだ。民主主義をとかく硬直的な制度として捉えがちな現代人にとって、例えば「民主主義は不確実性を制度化する」という言明は(あたりまえのことながら)新鮮に響く。ポピュリズムが政権を取ることそのものが問題ではなく、もっと根源的なところに問題は存在している。2024/01/22
buuupuuu
15
第2章のエピグラフに次のようにある。「人生は生きるものであって、コントロールされるものではない。そして人間性は、敗北を突きつけられてもプレーを続けることで得られる。我々は、ひとつでありながら多でもある、(…)。」民主主義は、例えば最適解だとか真の人民の意志だとかいった、既にどこかにあると想定されているような答えを実行するためのものではない。利害関心や理念やアイデンティティといった新たな論点を創始することから始まり、多様な立場の中で、自他の考えを変化させながら、継続的に政体に関わり続けるということなのだ。2022/10/15
ぼんきち
4
トランプを筆頭に権威主義ポピュリストが広がる現状を分析し、危機的状況にある民主主義を原点から見つめ直し、再生への希望を探る。米国や欧州の事例が詳しいが、訳者いわく「日本の似たような例が頭をよぎって腹立たしい気持ちがわき出してきたり、思わず苦笑させられたり」した。確かに国のリーダーが、いたずらに国民を区分けし、一方を罵り、貶めるさまは共通している。ロシアのウクライナ侵攻が起きる前の刊行だが、民主主義を装うポピュリストたちの行きつく先を物語る。メディアが伝えるべきは「情報」ではなく「議論」という指摘が重い。2022/11/14
yes5&3
3
日経のこの一冊から。最初Kindleで読み始めメモと付箋が必要になり書籍で読む。民主主義の危機、民主主義の限界。そもそも民主主義の要素とは?どのように破壊されているのか?非常に難しい原理に踏み込む。民主主義のインフラは仲介機関のメディアと政党(第3章)、そして、民主主義を復活させるにはインフラをどうすべきか(第4章)。権威主義ポピュリストの方が手ごわい感じを受けるが著者のように絶望せずに再生に向かわなければ、と思わせる。「抵抗」というあいまいな言葉P212-213に注意しよう2022/12/28
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