出版社内容情報
◆たった四つの文字から「畏るべき豊穣」を生む遺伝情報と、バッハのゴルトベルク変奏曲。その二つの構造の不思議なまでの符合を鋳型にして、精巧なロマンスとサスペンスが紡ぎ出される。
◆1957年、遺伝暗号の解読を目指す若き生化学者スチュアート・レスラーに、一人の女性がゴルトベルク変奏曲のレコードを手渡す。25年後、公立図書館の司書ジャン・オデイは、魅力的な青年フランク・トッドから、奇妙なリサーチの依頼を受ける。夜ごとゴルトベルクを聴きながら凡庸なコンピュータ・アルゴリズムのお守りをしている、恐ろしく知的で孤独な同僚の正体を調べたい、と。長い時を隔てて存在する二組の恋愛が、互いを反復し、変奏しながら二重螺旋のように絡み合う。なぜレスラーは20世紀生物学の最大の発見に肉薄しながら、突如歴史から消えたのか? その謎が解かれていくとともに、芸術、言語、音楽、愛、そして生命の継承の意味までを巻き込んだ語りが縦横に拡がっていく。
◆34歳の若きパワーズが持てるすべてを注ぎ込み、小説の四隅を押し広げようとした長編第3作にして、全著作のなかでも屈指のマスターピース。Time誌ブック・オブ・ザ・イヤー(1991)、パブリッシャーズ・レビュー誌ベスト・ブックス(1991)などに選出、全米批評家協会賞(1991)最終候補作。
内容説明
『黄金虫』のように暗号に駆り立てられ、DNA二重鎖のように互いを紡ぎ合う二組の男女の物語がゴルトベルク変奏曲と響き合う。初期パワーズのマスターピース。
著者等紹介
パワーズ,リチャード[パワーズ,リチャード] [Powers,Richard]
1957年アメリカ合衆国イリノイ州エヴァンストンに生まれる。11歳から16歳までバンコクに住み、のちアメリカに戻ってイリノイ大学で物理学を学ぶが、やがて文転し、同大で修士号を取得。80年代末から90年代初頭オランダに住み、現在はイリノイ州在住
森慎一郎[モリシンイチロウ]
1972年生まれ。京都大学文学研究科准教授。アメリカ文学研究者
若島正[ワカシマタダシ]
1952年生まれ。京都大学文学部名誉教授。英米文学研究者。詰将棋・チェスプロブレム作家。著書に、『乱視読者の帰還』(みすず書房、本格ミステリ大賞受賞)、『乱視読者の英米短篇講義』(研究社、読売文学賞受賞)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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