出版社内容情報
あなたの頭の中の声は、どんなスピードで語りますか? 脳内の語りをつねに使って思考しているのに、私たちはこんな素朴な問いにさえ答えられない。本書は、内なる声(内言)や聴声(幻聴)の本質を探り、それらと思考や意識との関係を捉えなおす試みだ。
読めば、内言や聴声の経験の想像を超える多様さに、まず驚かされる。脳内の「声」は当人の声に似ているか、完全な文章で語るかといった一般的性質はもちろん、スポーツ選手のセルフトーク、ろう者の場合、小説家が登場人物の台詞を綴る場合、黙読、fMRIで捉えた特徴など、内言や聴声があらゆる方向から調べられている。「声」の経験の圧倒的な多様性の前では、日常的に感覚している脳内の語りと、「病的」とされてきた聴声の間の線引きも色褪せはじめる。
「多くの人の内言には、ほかの声が満ちあふれているのである。」「私たちは聴声経験の聴覚的性質にこだわるのをやめて、見過ごされてきた事実に目を向けるべきである。まず、声は交流できる存在だということ。」これらは、「対話的思考」と呼ぶべき本性への手がかりであると著者は言う。ピアジェ、ヴィゴツキーといった偉大な心理学者たちも、内言や聴声を意識の本性についての大きな手がかりとした。読み進めるほどに心を奪われる、ユニークな探究の書。
内容説明
あなたの頭の中の声は、どんなスピードで語りますか?脳内の語りをつねに使って思考しているのに、私たちはこんな素朴な問いにさえ答えられない。本書は、内なる声(内言)や聴声(幻聴)の本質を探り、それらと思考や意識との関係を捉えなおす試みだ。
目次
不思議なチーズ―内なる声と思考の関係
ガス灯をつける―内観という方法
おしゃべりな器官の内側―自分の異なる部分どうしが会話する
ふたつの車―子どもの私的発話と内言の発達
思考の博物学―内言の種類、外言との関連
ページ上の声―黙読について
私の合唱―対話的思考と創造性
私ではない―聴声の経験
さまざまな声―聴声経験と内言の多様性に注目する
鳩の声―古代・中世の聴声
自らの声を聴く脳―言語性幻聴の神経科学
おしゃべりなミューズ―作家が聴く声について
過去からのメッセージ―トラウマ的記憶と聴声
しゃべらない声―非聴覚的・非言語的な経験
自分自身と会話する―「声」の重要性の探究
著者等紹介
ファニーハフ,チャールズ[ファニーハフ,チャールズ] [Fernyhough,Charles]
ダラム大学心理学教授。専門は発達心理学、とくに、幻聴・内言(内語)・イマジナリーコンパニオン(想像上の仲間)といった現象に関する認知発達心理学や、心の理論と個人差、ヴィゴツキー、文芸と認知、などを研究テーマとしている
柳沢圭子[ヤナギサワケイコ]
翻訳業、上智大学外国語学部英語学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
gorgeanalogue
ルーシー
y
こたろう