おしゃべりな脳の研究―内言・聴声・対話的思考

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おしゃべりな脳の研究―内言・聴声・対話的思考

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  • サイズ 46判/ページ数 285p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622090779
  • NDC分類 801.04
  • Cコード C0040

出版社内容情報

あなたの頭の中の声は、どんなスピードで語りますか? 脳内の語りをつねに使って思考しているのに、私たちはこんな素朴な問いにさえ答えられない。本書は、内なる声(内言)や聴声(幻聴)の本質を探り、それらと思考や意識との関係を捉えなおす試みだ。
読めば、内言や聴声の経験の想像を超える多様さに、まず驚かされる。脳内の「声」は当人の声に似ているか、完全な文章で語るかといった一般的性質はもちろん、スポーツ選手のセルフトーク、ろう者の場合、小説家が登場人物の台詞を綴る場合、黙読、fMRIで捉えた特徴など、内言や聴声があらゆる方向から調べられている。「声」の経験の圧倒的な多様性の前では、日常的に感覚している脳内の語りと、「病的」とされてきた聴声の間の線引きも色褪せはじめる。
「多くの人の内言には、ほかの声が満ちあふれているのである。」「私たちは聴声経験の聴覚的性質にこだわるのをやめて、見過ごされてきた事実に目を向けるべきである。まず、声は交流できる存在だということ。」これらは、「対話的思考」と呼ぶべき本性への手がかりであると著者は言う。ピアジェ、ヴィゴツキーといった偉大な心理学者たちも、内言や聴声を意識の本性についての大きな手がかりとした。読み進めるほどに心を奪われる、ユニークな探究の書。

内容説明

あなたの頭の中の声は、どんなスピードで語りますか?脳内の語りをつねに使って思考しているのに、私たちはこんな素朴な問いにさえ答えられない。本書は、内なる声(内言)や聴声(幻聴)の本質を探り、それらと思考や意識との関係を捉えなおす試みだ。

目次

不思議なチーズ―内なる声と思考の関係
ガス灯をつける―内観という方法
おしゃべりな器官の内側―自分の異なる部分どうしが会話する
ふたつの車―子どもの私的発話と内言の発達
思考の博物学―内言の種類、外言との関連
ページ上の声―黙読について
私の合唱―対話的思考と創造性
私ではない―聴声の経験
さまざまな声―聴声経験と内言の多様性に注目する
鳩の声―古代・中世の聴声
自らの声を聴く脳―言語性幻聴の神経科学
おしゃべりなミューズ―作家が聴く声について
過去からのメッセージ―トラウマ的記憶と聴声
しゃべらない声―非聴覚的・非言語的な経験
自分自身と会話する―「声」の重要性の探究

著者等紹介

ファニーハフ,チャールズ[ファニーハフ,チャールズ] [Fernyhough,Charles]
ダラム大学心理学教授。専門は発達心理学、とくに、幻聴・内言(内語)・イマジナリーコンパニオン(想像上の仲間)といった現象に関する認知発達心理学や、心の理論と個人差、ヴィゴツキー、文芸と認知、などを研究テーマとしている

柳沢圭子[ヤナギサワケイコ]
翻訳業、上智大学外国語学部英語学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

くさてる

25
頭の中に浮かぶ声。自分の考え、ひとりごと、黙読、幻聴……さまざまなかたちで人間の頭に浮かぶ〝声〟についての研究内容を解説した一冊。専門的であり、難しい箇所も多かったけれど、興味深く読みました。作家が頭の中で登場人物が話す声を聴く、とかの例も面白かった。マンガを読むときにキャラに特定の声を意識してなくても、アニメ化されると「声が違う」と違和感を覚えるあの感じも、このメカニズムのひとつなんだろうな。2022/09/07

gorgeanalogue

17
訳文がうまくいっていないようにも感じるが、全体的にはとても面白かった。内言の対話性、内言と聴声(幻聴)、スポーツ選手のセルフトーク、神秘的啓示、声とトラウマ、小説家が聞く登場人物の声、内言の脳認知…ヴィゴツキーの内言を核にした「声」のさまざまな「現前性」をめぐる。結論は出ていないが、「脳が行うおびただしい数の事柄をまとめるのに、内言が役立っている(という見方がある)」ともある。内言=カント的統覚? 社会学者ノーバート・ワイリー「人生は無声映画に似たところがあり、内言はこれを筋道だったものにする」は笑った。2022/09/26

ルーシー

8
難解な部分もあったがなんとか読み終えた。「内言」は脳内で計画を立てたり記憶の補助をしたり自己を保つためなど色々な役目があるという。自分ではない声が聞こえるという「聴声」については全く経験がないためあまりピンとこなかったが、聴声=病気では無いということは覚えておきたい。2023/06/30

y

6
なかなか読むのに難儀しましたが、面白かったです。 自分自身の経験に当てはめても、分類不能な内なる声や考えがあるので、これをきちんと科学的に研究するのはとても大変なことだと思いました。 まだ道半ばなところはあるのですが、もう少し著者としてのまとまった考えがあるとよいなーと思いました。2023/05/13

こたろう

6
脳内の声の主やイマジナリーふフレンド、失語症になったときの脳の声などについて書かれた本。 脳内で語りかけてくる現象について、事例が多く挙げられている。期待してた内容と違った。2023/03/13

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