出版社内容情報
パッシングとは混血ゆえに肌の白い黒人が白人になりすますこと。1920年代末の米国は「ハーレム・ルネサンス」が花開くが、肌の色が強力な規制力をもつ「カラーライン」が厳然と存在していた。黒人はレストランや商店に入れない。列車や劇場の席も区別される。人種の越境者であった女性たちの苛烈な生を描いた傑作小説である。ジェンダー/人種/差別/LGBT問題の必読書。作者も混血であり、生涯を黒人として生きた。
内容説明
安定を求めながら安全でない人生ばかり選んでしまう―。黒人文化が開花、街にジャズとダンスが溢れた1920年代N.Y.。人種の境界線を越えた女達の苦難と恍惚。
著者等紹介
ラーセン,ネラ[ラーセン,ネラ] [Larsen,Nella]
ハーレム・ルネサンス期を代表するアフリカ系アメリカ人女性作家。1891年シカゴに生まれる。母はデンマーク出身(白人)、父は西インド諸島出身(黒人)。幼少時の1895‐98年、デンマークに滞在。1908年テネシー州のフィスク大学附属師範学校に入学するが、一学年で退学となる。1908‐12年ふたたびデンマークに滞在。帰国後、リンカーン病院附属看護師訓練校に入学、15年看護師免許を取得。19年、物理学者エルマー・S・アイムズと結婚。26年短編小説「人違い」と「自由」を雑誌に発表。28年長編小説「流砂にのまれて」、29年「パッシング」を発表し、高い評価を得た。30年発表して短編小説「サンクチュアリ」に剽盗疑惑が持ち上がるなか、文学上の業績により黒人女性として初めてグッゲンハイム奨学金を授与され、32年1月までヨーロッパに滞在。33年離婚、ハーレムを去ったのちは、63年に退職するまで病院で看護師として働き、64年、25年間住んだアパートでひとり世を去った。享年72歳
鵜殿えりか[ウドノエリカ]
アメリカ文学研究者。愛知県立大学名誉教授。著書に『トニ・モリスンの小説』(2015、彩流社、日本アメリカ文学会賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
キムチ
星落秋風五丈原
こばまり
羽