出版社内容情報
南北戦争は連邦存続と奴隷解放のために戦われたと理解されがちだが、実際はイデオロギー対立の殺し合いによる解消という側面が強い。62万の戦死者を出して維持された連邦、民主主義とは、一体何だったのか。
この反省に立脚し、現代に至る米国精神の礎石を築いた若き哲学者たちがいた。後の合州国最高裁判事オリヴァー・ウェンデル・ホウムズ、心理学者ウィリアム・ジェイムズ、論理学者チャールズ・サンダース・パース、教育学者ジョン・デューイである。ときに反目した彼らの思想は次の一点で一致していた。すなわち「思想は決してイデオロギーに転化してはならない」。
彼らは米国の近代化に大きな役割を果たしただけでなく、教育、民主主義、自由、正義、寛容についての米国人の考えを変えた。その思想「プラグマティズム」胚胎の場が「メタフィジカル・クラブ」--形而上学批判の意味を込めて命名され、彼らが集った議論集会であった。本書は、歴史上に一瞬あらわれたこの幻のような集会を象徴的中心として、米国100年の精神史を見事に描き切っている。米国研究の要として名高い、現代の古典である。
フランシス・パークマン賞(Society of American Historians)、ピューリツァー賞歴史部門受賞。『ニューヨーク・タイムズ』紙ベストセラー。
内容説明
南北戦争への反省に立脚し、米国精神を築いた若き哲学者たち。その思想、プラグマティズム成立を描いたピューリツァー受賞の大作。
目次
第1部(奴隷制をめぐる政治;奴隷制廃止論者 ほか)
第2部(二つの心をもつ男;アガシ ほか)
第3部(パース父子;誤差の法則 ほか)
第4部(バーリントン;ボルティモア ほか)
第5部(いくつものプラグマティズム;いくつもの多元主義 ほか)
著者等紹介
メナンド,ルイ[メナンド,ルイ] [Menand,Louis]
1952年ニューヨーク生まれ。アメリカ研究者。英米文学者。ニューヨーク市立大学大学院教授等を経て現在ハーヴァード大学教授。2001年より雑誌『ニューヨーカー』のスタッフライターもつとめる。『Metaphysical Club』により2002年にピューリツァー賞歴史部門を受賞
野口良平[ノグチリョウヘイ]
哲学、精神史。著書に『「大菩薩峠」の世界像』(平凡社2009、第18回橋本峰雄賞)など
那須耕介[ナスコウスケ]
法哲学。著書に『法の支配と遵法責務』(勁草書房、2020)など。2021年死去
石井素子[イシイモトコ]
教育社会学。共訳書に、ピエール・アンサール『社会学の新生』(藤原書店、2004)、ボードロ/エスタブレ『豊かさのなかの自殺』(藤原書店、2012)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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