出版社内容情報
1995年の米兵による沖縄での少女暴行事件をきっかけに、日米は地位協定の運用を改善した。しかし、その後もつづく米兵による犯罪の多くは、おもに「公務」を理由に日本に裁判権のないまま、被害者や関係者も知らないまま、闇に葬り去られている。なぜこのような実状になるのか。
本書は、刑事裁判権を中心に、NATO軍地位協定やフィリピン、韓国、アイスランド、オランダ、そして日本と同じように敗戦・占領期をへたドイツの事情などを具体的事例にもとづいて検討しながら、またアメリカや米軍の基本方針も考慮に入れつつ、日米行政協定・地位協定下の米兵犯罪の実態を実証的に明らかにするものである。そのうえで、実現可能な日米地位協定の改善策をいくつか提示する。
このような比較考察をへて浮き彫りになるのは、各国の法制度との共通性や違いをこえて、日米同盟をより強固にするべくアメリカにすり寄り、沖縄にほぼすべての犠牲を強いる日本の現実であろう。日米地位協定とその背後をより深く考えるために、国際的視点から考察した類のない書である。
内容説明
刑事裁判権を中心に、NATO軍、フィリピン、韓国、ドイツなどの具体的事例と比較検討しながら、日米地位協定の過去・現在・未来を再考する。何が問題なのか。
目次
刑事裁判権問題とは何か
第1部 変わる地位協定(日米地位協定の運用改善;米比軍事基地協定の失効;米韓地位協定の改正)
第2部 変わらない地位協定(公務犯罪;刑事裁判権放棄;身柄拘束)
刑事裁判権条項をどのように変えるか
著者等紹介
信夫隆司[シノブタカシ]
1953年山形生まれ。日本大学大学院法学研究科修士課程、Portland State University大学院政治学研究科修了。博士(政治学)。日本大学特任教授。専攻、国際政治学・国際関係史。著書『米軍基地権と日米密約―奄美・小笠原・沖縄返還を通して』(岩波書店2019年、一般財団法人櫻田會特別功労賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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