出版社内容情報
「意思疎通ができないような、また意思疎通しようとしないような二つの文化の存在は危険である。科学がわれわれの運命の大半、すなわちわれわれの生死を決定しようという時代に、単に実際的な面からだけ考えても、それは危険なことである。科学者が間違った勧告を与えることもありうるし、政策決定者たちがその当否を知りえないこともありうる。一面、分裂した文化をもつ科学者たちは、いろいろな可能性について自分たちだけに通用するような知識を提供する。(…)われわれは永い間耐える覚悟をするのは当然としても、上述のようなことはいずれも政治の成り行きを一そう複雑にし、場合によっては一そう危険なものとする。」
自然科学と人文科学、各々の知的・精神的風土の乖離と無理解がもたらす社会的危機を訴え大論争を巻き起こした書。科学と文化を語る必須文献で、科学社会学が精緻化された現在も、常にルーツとして参照される名著。原書1993年版にもとづき70頁余の解説を付す。
内容説明
自然科学と人文科学、各々の知的・精神的風土の乖離と無理解がもたらす社会的危機を訴え大論争を巻き起こした書。科学と文化を語る必須文献で、科学社会学が精緻化された現在も、常にルーツとして参照される名著。原書1993年版にもとづく70頁余の解説付。
目次
1 二つの文化と科学革命(一九五九年度リード講演)(二つの文化;生まれながらのラダイトとしての知識人;科学革命;富めるものと貧しいもの)
2 その後の考察(一九六三年)
解説(ステファン・コリーニ 一九九三年)(歴史的に見た「二つの文化」;スノーの生涯;「二つの文化」という考えの発展;反応と論争;変わりゆく学問分野の地図;専門家;変わりゆく世界のなかでの「二つの文化」)
著者等紹介
スノー,チャールズ・P.[スノー,チャールズP.] [Snow,Charles Percy]
1905‐1980。1905年、イギリスのレスターに生まれる。ケンブリッジ大学クライスト・カレッジで物理化学を学び、1930年、同カレッジの特別研究員となる。1940年、労働省職員となり、第二次世界大戦中の科学者の研究動員に果たした功績により大英帝国勲章(CBE)を授与される。1947年、イギリス電力会社の重役に就任。1957年、ナイトに叙せられる。1932年、処女作『航行中の殺人』出版を機に創作活動に入る。1980年没
松井巻之助[マツイマキノスケ]
1913年、長野県に生まれる。1939年、東京文理科大学理学部物理学科卒業。1952‐84年、みすず書房編集部に勤める。1984年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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