出版社内容情報
第二次大戦前夜、フランコのクーデタから始まった内戦は、ファシズムと共産主義の代理戦争に発展した。ステインはヘミングウェイ、オーウェルとおなじく、ソ連が援護するスペイン共和国軍のもとに馳せ参じる。しかし彼が属したユダヤ人部隊は食糧も武器もなく肉弾戦に投入され、殲滅された。ソ連共産党の腐敗と横暴に絶望しながら、奇跡的に生還し、回想記を書く。抑えられた筆致がかえって雄弁に真実を語るだろう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
古本虫がさまよう
5
コミュニストとして国際旅団の一員としてスペインにやってくる。粛清裁判のことは気にかけつつも……。また社民主義者は「ファシズムの左翼」とみなされていたのに、一転して「共にファシズムと戦う同志」となったことに戸惑いながらも……。「粛清裁判」に関しては、この前公開されたロズニッツァ監督の実録映画『粛清裁判』が圧巻だった。またケストラーの『真昼の暗黒』もそのあたりを描いた佳作。スターリンの言いなりでしかなかった国際旅団の欺瞞を告発した書だ。オーウェルの『カタロニア讃歌』に匹敵するノンフィクション。2021/08/30