出版社内容情報
時代の要請を失った最高レベルの技術。その生かしどころを求めて塔模型製作に没頭した天才建具師。「名品」でなく誰もが買うことのできる実用道具のみを製作し、千代鶴是秀を唸らせた月島の鑿鍛冶……狂乱好景気のバブルとともに、技術の受け渡しはいかに失われていったか。通り過ぎてきた時代は手でものを作る人々にとって何だったのか――驚異的な技術をもちつつ無名性の中に生きた職人たちの肖像。
内容説明
昭和から平成へ、通り過ぎてきた時代は手でものを作る人々に何を残したのか。驚異的な技術と視線の清明さを持ちつつ、無名性の中にただ生きた職人たちの肖像。
目次
第1章 とばくちの話―鏝鑿(大工の訓戒;ある鏝鑿 ほか)
第2章 祖や師の話―砥石(未熟者の修業時代;山口介左衛門の鋸 ほか)
第3章 塔の話―毛引(是秀の実用道具収集と調査;杉の白太の仕上げ削り―名工伝説と無名性 ほか)
第4章 回廊の話―火床(「先代の作ったもののほうが良かった」;十代目石堂輝秀の葬儀 ほか)
著者等紹介
土田昇[ツチダノボル]
1962年、東京生まれ、土田刃物店三代目店主。父・土田一郎より引き継いだ千代鶴是秀作品の研究家であるとともに、木工手道具全般の目立て、研ぎ、すげ込み等を行う技術者でもある。竹中大工道具館(神戸)の展示・研究協力。ものつくり大学技能工芸学部、非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へへろ~本舗
5
鑿や鉋、鋸などの大工道具の作り方や技術的な話に名人、名工や市井の職人などの思い出を語り、更に伝統的な鋸鍛治文化が工業製品としての大量生産品に駆逐されていくさまを刃物業界の衰退、失われていく技術・職業等を惜しみつつも淡々と記している。近代化の波に押されていく江戸文化を描いた「逝きし世の面影」を思い出したのはどちらもある文化の終焉を描いているからだろうか。2020/07/14
パン太郎
3
自分の中に据えた一本の芯に向き合う職人。淡々と、しかし凄まじくもあります。注目さえ浴びれば、人も羨む生活さえすればという昨今の風潮とは対極をなす姿勢が素敵すぎます。そこから生み出される、装飾や見栄を削ぎ落とし本来の目的である実用を目指した道具の美しさたるや。2023/03/13
tkm66
2
大変貴重な証言。ただ著者の語り口が〈ドクトクくん(by竹中直人)〉で、かなりの難物。2020/05/21
takao
1
ふむ2021/11/11
-
- 和書
- 家族性乳癌