出版社内容情報
約600年存続したイスラム帝国オスマンは、第一次世界大戦での敗北を受け1922年に消滅した。列強の干渉を退ける独立戦争を経た翌年、近代的国民国家として発足したトルコ共和国はイスラムと決別してゆく。この一大革命を主導したケマル・アタテュルクは建国の父として崇められ、「ケマリズム」「アタテュルク主義」というイデオロギーが形成されるまでになった。それは次第に影響力を減じながらも、今もトルコの公式イデオロギーであり続けている。
建国に際してアタテュルクは、科学主義、理性崇拝、世俗主義といった近代西洋の理念を礎として、言語から服装まで徹底的な改革を断行した。本書はそのアタテュルクが、西洋のどのような書物を読み、どのような学説を支持し、どのような影響を受けて自らの建国思想を形成したのかを追究するものであり、これまでにない角度からアタテュルク像を描く。さらに、ヨーロッパ発祥の近代文明史にトルコ革命を位置づけることで、近代西洋に裏から光をあてるという、注目すべき試みにもなっている。徳川幕藩体制から明治の近代国家へと、性急な近代化を成し遂げた日本との、興味深い共通性も浮かび上がってくるだろう。
オスマン帝国近代史研究の第一人者による、現代トルコの起源を知るための必読書。エルドアン現大統領の政策とアタテュルクとの関係を論じた訳者解説を付す。
内容説明
イスラム圏初の世俗国家を建設したアタテュルク。近代西洋の理念に則る建国という壮大な社会実験は、成功したのか?西洋と東洋の狭間から歴史を読み直す。エルドアン現大統領の政策とアタテュルクとの関係を論じた訳者解説を付す。
目次
第1章 世紀末のテッサロニキ
第2章 「武装せる国民」―あるオスマン将校の誕生
第3章 青年トルコ人の科学主義
第4章 諸戦争から世界大戦へ―英雄の登場
第5章 イスラム共産主義?―トルコ独立戦争
第6章 世俗的共和国
第7章 ナショナリズムとケマリズム
第8章 トルコと西洋
著者等紹介
ハーニオール,M.シュクリュ[ハーニオール,M.シュクリュ] [Hanioglu,M.S¨ukr¨u]
1955年イスタンブルに生まれる。プリンストン大学教授。トルコ歴史協会名誉会員。青年トルコ人運動を中心としたオスマン帝国近代史研究の第一人者
新井政美[アライマサミ]
1953年生まれ。東京外国語大学名誉教授、トルコ歴史協会名誉会員
柿〓正樹[カキザキマサキ]
1976年生まれ。テンプル大学ジャパンキャンパス上級准教授。2002年、中東工科大学(トルコ)政治行政学部修士課程修了。2015年、ユタ大学政治学部博士課程修了。博士(政治学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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