出版社内容情報
量子論は、古典論が解決の糸口さえ見出せなかった広範囲にわたる実験結果を正確に説明しようとする物理学者のたゆまぬ努力の所産である。そして、量子論は単にその科学的知識としての内容においてばかりではなく、知識を表現するための概念の組み立てにおいても革命的な変化をもたらしたのである。しかし、この事実は必ずしも一般に認識しているとはいえない。古典論で扱う比較的図示しやすく描像を描きやすい内容と、量子論特有の抽象的・数学的形式とがあまりにもかけはなれたものであるために、物質の量子論的性質についての日常の具象的な意味での理解は放棄されがちである。しかし、量子論の物理的解釈をいっそう押し進めることによって量子論の結果を定性的・具象的概念によって表現することも可能である。本書は、量子論の物理的描像を定式化したものとして画期的な名著である。
内容説明
オッペンハイマーやアインシュタインと研究をともにし、量子力学に寄与した物理学者が、1951年に刊行したコペンハーゲン解釈による量子論の教科書。古典論との関係を実験と理論を通じて説明し、定性的・物理的に叙述を展開する。
目次
第1部 量子論の物理的定式化
第2部 量子論の数学的定式化
第3部 簡単な体系への応用。量子論の定式化の一層の拡張
第4部 Schr¨odinger方程式の近似的解法
第5部 散乱の理論
第6部 観測過程の量子論
著者等紹介
ボーム,D.[ボーム,D.] [Bohm,David]
1917‐1992。アメリカ、ペンシルヴァニア州に生れる。1939年ペンシルヴァニア州立カレッジにてB.S.を、1943年カリフォルニア大学(バークレー)にてPh.D.を取得。ブラジル、イスラエルなどで教鞭をとったのちロンドン大学バークベックカレッジ教授。1992年歿
高林武彦[タカバヤシタケヒコ]
1941年東京大学物理学科卒業。名古屋大学名誉教授。理学博士。専攻は理論物理、物理学史。1999年歿
井上健[イノウエタケシ]
1941年京都大学物理学科卒業。京都大学名誉教授。理学博士。専攻は素粒子論
河辺六男[カワベロクオ]
1948年名古屋大学物理学科卒業。大阪医科大学名誉教授。専攻は素粒子論。2000年歿
後藤邦夫[ゴトウクニオ]
1955年名古屋大学物理学科卒業。桃山学院大学名誉教授。専攻は理論物理、物理学史、科学技術社会論。2019年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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