出版社内容情報
「近代ヨーロッパの文化世界に生を享けた者が普遍史的な諸問題を取扱おうとするばあい、彼は必然的に、そしてそれは当をえたことでもあるが、次のような問題の立て方をするであろう。いったい、どのような諸事情の連鎖が存在したために、他ならぬ西洋という地盤において、またそこにおいてのみ、普遍的な意義と妥当性をもつような発展傾向をとる――と少なくともわれわれは考えたい――文化的諸現象が姿を現わすことになったのか、と。」
マックス・ヴェーバーは、『宗教社会学論集』(全三巻)の冒頭を飾る序言でその視座をこのように設定している。そして数学、音楽、建築、法律、政治などの諸現象の吟味を通して、ついに近代西洋におけるもっとも運命的な力としての「近代資本主義」に焦点を合わせる。ヴェーバーの宗教社会学は、古今東西のさまざまな社会において「近代資本主義」の発展を阻止しあるいは促進した諸要因、とりわけ宗教意識の質の問題、をめぐって展開されるのである。
本書は『宗教社会学論集』のなかから訳者が選んだ方法上・理論上の基軸をなす重要な論文によって構成されている。「人間の行為を直接に支配するものは、利害関心(物質的ならびに観念的な)であって、理念ではない。しかし、『理念』によってつくりだされた『世界像』は、きわめてしばしば転轍手として軌道を決定し、そしてその軌道の上を利害のダイナミックスが人間の行為を推し進めてきたのである。」本書を貫く、ことがらに即した学問的態度、よび歴史と人間に対する深い洞察は、読者を世界の新たな把握へと導くであろう。
内容説明
宗教意識と資本主義の関係をテーマとした『宗教社会学論集』から、その問題設定を扱う3論文を精選する。
目次
1 宗教社会学論集 序言
2 世界宗教の経済倫理 序論
3 世界宗教の経済倫理 中間考察―宗教的現世拒否の段階と方向に関する理論
付録 儒教とピュウリタニズム
著者等紹介
ヴェーバー,マックス[ヴェーバー,マックス] [Weber,Max]
1864‐1920。ドイツ、エルフルトに生れる。ハイデルベルク、ベルリン、ゲッティンゲンの各大学で法律学を専攻し、歴史、経済学、哲学に対する造詣をも深める。1892年ベルリン大学でローマ法、ドイツ法、商法の教授資格を得、同年同大学講師、1893年同助教授、1894年フライブルク大学経済学教授、1897年ハイデルベルク大学経済学教授。1903年病気のため教職を去り、ハイデルベルク大学名誉教授となる。1918年ウィーン大学教授、1919年ミュンヘン大学教授、経済史を講義。1920年ミュンヘンで歿
大塚久雄[オオツカヒサオ]
1907年京都に生れる。1930年東京大学経済学部卒業。東京大学名誉教授、元国際基督教大学教授。1996年歿
生松敬三[イキマツケイゾウ]
1928年東京に生れる。1950年東京大学文学部哲学科卒業。元中央大学教授。1984年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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