出版社内容情報
象徴主義(サンボリスム)の創始者にして現代詩の父、シャルル・ボードレール。詩人が生涯をかけて編纂した『悪の花』は、彼の自伝的なエピソードを基にしながらも、自意識によって虚構化された作品である。詩の語り手は、現実の女を彫刻化することで、詩集を近代人の成長の物語として演出した。徹底的な読解によって詩人の新たな像を提出する、画期的な新研究。
内容説明
青年は愛する女を彫刻化することによって詩人になった―『悪の花』各版の詩篇と異同を徹底的に読み込んで、そこから「近代人の成長の物語」を演出した詩人像を析出する、画期的な新研究。
目次
第1部 自己演出と芸術(『悪の花』の演出―五つの論点;ボードレールの演出―新プラトン主義と「ダンディ」;女のモチーフの演出―化粧と彫刻)
第2部 彫刻と想像力(近代人と彫刻―ヴィンケルマンとその批判的受容者たち;十九世紀中葉の彫刻の「低迷」とボードレール;ボードレールの彫刻批判;彫刻と創造力)
第3部 『悪の花』読解(初期作品(一八四三年頃)―自伝的な語り手
「冥府」(一八五一年)―青年たちの代弁者
『フランス評論』発表詩群(一八五七年)―部分と全体
『悪の花』初版(一八七五年)―青年が詩人になる物語
『悪の花』第二版(一八六一年)の「パリ情景」―遊歩者)
著者等紹介
小倉康寛[オグラヤスヒロ]
1982年、千葉県生まれ。市川市と千葉市を往復して育つ。19世紀フランス文学(詩学)、フランス美術史(彫刻)を専門にする。2006年、青山学院大学卒業。2009年から2014年までパリ第8大学へ留学。日本学術振興会特別研究員(DC)。日本学生支援機構専門調査員を経て、2017年、一橋大学にて博士号(学術)を取得。現在、同学特別研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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