出版社内容情報
精神分析を創始し、20世紀の思想を決定付けたフロイト。だが、フロイトは本当に読まれているだろうか。読むとは著者とともにテクストを新たに創る、創造的な行為である。本書はまさにそのような意味でフロイトを読む。そして、その思考のエッセンスを浮上させる。フロイトの何が重要で、臨床をどう刷新したのか。フロイトは精神分析家としてどんな変容を遂げたのか。フロイト論の決定版。
内容説明
フロイトの何が重要で、現代の臨床とどう接続するのか。分析家としてどのような変容を遂げ、理論を刷新したのか。その思想の核心を明かす、フロイト論の決定版。
目次
フロイトの歩み
第1部 倒錯論としての精神分析(ヒステリーの建築様式;心的両性性と肛門欲動論)
第2部 ナルシシズムという迷宮(ナルシスの身体;自己という装置)
第3部 死の欲動の衝撃(「子供が世話される」;死の欲動とマゾヒズム)
第4部 分析家のメチエ(分析技法と終結の問い)
エピローグ 分析家の日常
著者等紹介
十川幸司[トガワコウジ]
精神分析家・精神科医。山口大学医学部卒。自治医科大学精神科、プレモントレ精神科病院勤務、パリ第8大学、EHESS(高等社会学院)で精神分析、哲学を専攻。帰国後、茨城県立友部病院医長を経て、1999年より個人開業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さえきかずひこ
12
フロイトの病者を分析する方法を初期・中期・後期の三期に分け、初期に生まれた心的機能の根本原理=快原理(質的原理)が、後期に至って量的原理として基礎づけられようとするまでの過程を平明かつ明晰に述べていく一冊。時折彼の有名な患者のエピソードだけではなく筆者自身の経験した具体的な臨床例も交え、フロイトの卓越した思索の道行きに、現代に通じる確かな奥ゆきを与えていく書きぶりが好ましい。また「獣の単調さ」(P.214)という印象的な鍵語で精神分析の営みの質実さを伝えているのも心に残った。入門書で飽き足らない方はぜひ!2019/11/13
TOMYTOMY
2
専門的ではあるんだけど、面白い。 実践と論理の攻めがわいが中々分かりやすくフロイトの理解に。 人間の無意識の複雑さを良く理解と共に、暴力的言えばSMなんですよ!!!人類わ2019/12/06
水紗枝荒葉
0
フロイトの原論文を精読する本。入門書ではなく中級者向け。フロイト自身が理論を形成する過程で混乱し破綻しながらなおも前進する(「獣のように仕事する」!)様をつぶさに観察することで、精神分析に関する何かしらの疑問が解消されるかもしれない。 2022/10/12
mori-ful
0
ラカンよりもフロイトを読み込んでいるとすら言ってもいいかもしれない。すごかった。ラプランシュも再挑戦したくなった。2024/01/22
yoyogi kazuo
0
臨床分析を実践する医師の立場から書かれたフロイト論考。基礎的な知識がなくいきなり読むと難解だが、実践的な読みの記録として内容が全て理解できなくても面白く読めた。2022/11/19