出版社内容情報
■「脳は予測装置であり、その予測能力は、絶え間なく生成しているさまざまなリズムから生じる。」2006年に刊行された本書の原著は、かつて「ノイズ」にすぎないとされていた現象への見方を180度転回させたといわれる。待望の邦訳。
■脳内のリズム現象は私たちの認知機能の中核を担っている。脳の中では振動子としてのニューロンが集団的に同期しつつ、1/f 揺らぎを示すノイズの相関、時間窓を用いたネットワークのスイッチング、確率共振といった種々の特性を利用しながら、思考や記憶などの機能を創発するシンフォニーを奏でているのだ。著者は本書を初歩から説き起しているが、全体としてはきわめて深く包括的に書かれており、読み終わるころには振動ダイナミクスと認知機能の関連が驚くほど具体的に見えてくる。
■たとえば、後半の第11章(Cycle 11)では、場所細胞のスパイクという細胞レベルの現象と、θサイクルというネットワークの振動現象によって、ラットが周囲の空間を把握し記憶しながら航行できる仕組み(空間ナビゲーション)を機械論的に説明しきっており、圧巻だ。まさに脳の見方を変えた画期的な一冊。
“膨大で複雑な脳神経回路の機能を理解したいなら「必読」だ。”
──『ネイチャー』誌
“脳神経系にかかわる多くのビッグ・クエスチョンに答えるような、今日的かつ果敢な解説。”──『ニューロン』誌
内容説明
脳内リズムがなければ、心も生まれない。「脳は予測する装置であり、予測能力を生んでいるのはリズムだ。」脳内の振動現象の大半は“ノイズ”にすぎないという見方を、本書が一変させた。神経科学の新展開を見通したブザーキの予言の書、待望の邦訳。
目次
構造が機能を規定する
皮質の機能の多様性は抑制によってもたらされる
脳の機能を覗き見る窓
リズムのシステム―単純なダイナミクスから複雑なダイナミクスへ
振動による同期化
脳のデフォルト状態―休息中、睡眠中の自己組織化された振動
経験がデフォルトパターンをかき乱す
γのざわめき―目覚めている脳における振動による結びつけ
知覚と行為は脳の状態に依存する
「もうひとつの皮質」での振動―現実と記憶の空間を航行する
振動によるシステムのカップリング
一筋縄ではいかない問題
著者等紹介
ブザーキ,ジェルジ[ブザーキ,ジェルジ] [Buzs´aki,Gy¨orgy]
ニューヨーク大学神経科学研究所ビッグス教授。1949年、ハンガリー生まれ。1974年、ペーチ大学にてM.D.取得。1984年、ブダペスト科学アカデミーのPh.D.(神経科学)を取得。ルンド大学(スウェーデン)客員助教授、カリフォルニア大学サンディエゴ校神経科学部門准教授、ラトガース大学分子・行動神経科学研究センター教授などを経て、2012年より現職。主として脳内の振動現象、睡眠、記憶を研究テーマとし、200本以上の研究論文を発表している。『脳のリズム』が初めての単著
渡部喬光[ワタナベタカミツ]
理化学研究所・脳神経科学研究センター副チームリーダー。東京大学医学部医学科卒業。臨床研修を経て、同大学院医学系研究科修了。ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンでの研究活動を経て、現職。専門は認知神経科学、精神神経疾患の脳科学
谷垣暁美[タニガキアケミ]
翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aoya513
ばにき
y
こたろう
中村蓮