出版社内容情報
ボーアの観測問題など量子力学の諸問題を哲学的に基礎づけ、科学と哲学を架橋した画期作。カッシーラ哲学のすべての要素の結接点。「カントのとらわれていた、近代科学のカテゴリーのみで経験の対象が構成されるという理性主義的偏向と、その近代科学をもっぱらニュートン物理学のみに求めるという時代的制約の、両面での限界を克服した立場から、あらためて現代物理学の世界認識に取り組んだのが本書である。その意味においても、本書はカッシーラー哲学の全貌を知るうえで不可欠であり、またその点に本書がカッシーラー哲学全体のなかで有する重要性もある」(訳者)
量子力学の本当の困難は、それが根底的な〈非決定論〉を導入したということ、それが私たちに〈因果概念〉の放棄を要求しているということ、そのことにあるのではない――この問題提起から始まり、ナチス・ドイツを逃れ亡命先のスウェーデンで1936年に執筆された本書は、『実体概念と関数概念』に始まり『シンボル形式の哲学』に結実し『国家の神話』に終わる、カッシーラーの生涯の哲学的問題意識のすべての要素の結接点に位置するものである。
1994年に同訳者により学術書房から刊行された旧訳書を、原書初版に基づき本文・解説とも大幅に書き改め、英訳版の序文も加えた、改訳新版。量子力学的世界の哲学的基礎付けを試み、科学と哲学を架橋した画期的著作である。
まえがき
第1部 歴史的・予備的考察
第一章 「ラプラスの魔」
第二章 形而上学的決定論と批判的決定論
第2部 古典物理学の因果原理
第一章 物理学的命題の基本型――測定命題
第二章 法則命題
第三章 原理命題
第四章 普遍的因果律
第3部 因果性と確率
第一章 力学的な法則性と統計的な法則性
第二章 統計的命題の論理学的性格
第4部 量子論の因果問題
第一章 量子論の基礎と不確定性関係
第二章 原子概念の歴史と認識論によせて
第5部 因果性と連続性
第一章 古典物理学における連続性原理
第二章 「質点」の問題によせて
最終的考察と倫理学的結論
英訳版の序文
訳者あとがきと解説
訳注
原注
事項索引
人名索引
エルンスト・カッシーラー[エルンストカッシーラー]
著・文・その他
山本義隆[ヤマモトヨシタカ]
翻訳
内容説明
量子力学の本当の困難は、それが根底的な“非決定論”を導入したということ、それが私たちに“因果概念”の放棄を要求しているということ、そのことにあるのではない―この問題提起から始まり、ナチス・ドイツを逃れ亡命先のスウェーデンで1936年に執筆された本書は、『実体概念と関数概念』に始まり『シンボル形式の哲学』に結実し『国家の神話』に終わる、カッシーラーの生涯の哲学的問題意識のすべての要素の結接点に位置するものである。1994年に同訳者により学術書房から刊行された旧訳書を、原書初版に基づき本文・解説とも大幅に書き改め、英訳版の序文も加えた、改訳新版。量子力学的世界の哲学的基礎付けを試み、科学と哲学を架橋した画期的著作である。
目次
第1部 歴史的・予備的考察
第2部 古典物理学の因果原理
第3部 因果性と確率
第4部 量子論の因果問題
第5部 因果性と連続性
最終的考察と倫理学的結論
著者等紹介
カッシーラー,エルンスト[カッシーラー,エルンスト] [Cassirer,Ernst]
1874‐1945。ドイツの哲学者。旧ドイツ領プレスラウ(現ポーランド領ヴロツワフ)に生まれる。ヘルマン・コーエンの下でカント哲学を学び、マールブルク学派の一人に数えあげられるが、近代認識論史の大著である『近代の哲学と科学における認識問題』(1‐3巻、1906‐20、4巻、1950(邦訳『認識問題』全4巻・5冊))や『実体概念と関数概念』(1910)で独自の立場を確立。ベルリン大学私講師をへて1919年新設ハンブルク大学教授に着任。さらに『シンボル形式の哲学』(1923‐29)で言語・神話・宗教・芸術などを包括する文化哲学の体系をつくりあげた。1933年、ナチスの支配と同時に亡命を余儀なくされ、オクスフォードからスウェーデンをへて、1941年以後アメリカで活躍する。1945年4月、ニューヨークで歿
山本義隆[ヤマモトヨシタカ]
1941年、大阪に生まれる。1964年東京大学理学部物理学科卒業。同大学大学院博士課程中退。現在、学校法人駿台予備学校勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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