出版社内容情報
「ここにあるすべては、小説のひとりの登場人物によって語られている、とみなされねばならない。」写真と断章による「自伝」の新訳。「彼は、自分自身のいかなる〈イメージ〉にも耐えられないし、名づけられることを苦痛に感じている。理想的な人間関係というのはイメージのないことだと彼は思っている。つまり、親しいあいだでは、たがいに〈形容詞〉をなくすことである。形容詞をもちいて語りあう関係は、イメージの側に、支配や死の側にあるのだ。」(「形容詞」)
1975年に「永遠の作家叢書」の一冊として刊行された本書は、ただちに大きな反響と驚きを呼びおこすとともに、挑戦的ともいえる斬新な形式が読者を戸惑わせた。その衝撃と影響は大きく、少なからぬ作家が自伝的作品を発表するようになる。
それから40年以上がすぎた今、かつてバルトが提示した理論や形式は色あせた。だが、だからこそ、熟成した作品としての姿がくっきりと見えてきたのである。そしてこの作品がじつは革新的な文学の試みにほかならなかったことに気づかされる。
バルトのエクリチュールを包んでいた「イカの墨」が、時の効果によって消え去り、長いあいだ見えなかったその革新性が、ようやく読者の心をとらえるようになった。そうした変化に応じて、新たに翻訳され、精密な訳注をそなえた本書の出現は、ロラン・バルト体験を一新することだろう。
写真【46ページのキャプション付きアルバム】
断章【能動的/反作用的―形容詞―気楽さ―類似という悪魔―黒板に―金銭―アルゴー船―傲慢さ―占い師の身ぶり―選択でなく同意を―真実と断定―アトピア―自己指示性、など「全体性という怪物」まで200余の断章、以下略】
訳註
訳註中のバルトの著作リスト
経歴
著作1942-1974
図版説明
訳者あとがき
指標
ロラン・バルト[ロラン バルト]
著・文・その他
石川美子[イシカワヨシコ]
翻訳
内容説明
1975年に「永遠の作家叢書」の一冊として刊行された本書は、ただちに大きな反響と驚きを呼びおこすとともに、挑戦的ともいえる斬新な形式が読者を戸惑わせた。その衝撃と影響は大きく、少なからぬ作家が自伝的作品を発表するようになる。それから40年以上がすぎた今、かつてバルトが提示した理論や形式は色あせた。だが、だからこそ、熟成した作品としての姿がくっきりと見えてきたのである。そしてこの作品がじつは革新的な文学の試みにほかならなかったことに気づかされる。バルトのエクリチュールを包んでいた「イカの墨」が、時の効果によって消え去り、長いあいだ見えなかったその革新性が、ようやく読者の心をとらえるようになった。そうした変化に応じて、新たに翻訳され、精密な訳注をそなえた本書の出現は、ロラン・バルト体験を一新することだろう。
目次
写真
断章(能動的/反作用的Actif/r´eactif;形容詞L’adjectif;気楽さL’aise;類似という悪魔Le d´emon de l’analogie;黒板にAu tableau noir;金銭L’argent;アルゴー船Le vaisseau Argo;倣慢さl’arrogance;占い師の身ぶりLe geste de l’aruspice;選択でなく同意をL’assentiment,non le choix ほか)
著者等紹介
バルト,ロラン[バルト,ロラン] [Barthes,Roland]
1915‐1980。フランスの批評家・思想家。1953年に『零度のエクリチュール』を出版して以来、現代思想にかぎりない影響を与えつづけた。1980年2月25日に交通事故に遭い、3月26日に亡くなった
石川美子[イシカワヨシコ]
1980年、京都大学文学部卒業。東京大学人文科学研究科博士課程を経て、1992年、パリ第7大学で博士号取得。フランス文学専攻。明治学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
三柴ゆよし
nranjen
uchiyama
kana0202