出版社内容情報
夏目漱石の紹介以来日本でも長く親しまれてきた、アメリカの国民詩人の代表作を、コンパクトな初版(1855年版)で初めて翻訳する
ホイットマンは詩集『草の葉』を、1855年の初版以来、生涯をかけていくつもの版で拡張・訂正しつづけた。それによって最終版(1891年)は初版の5倍ほどの分量に膨れあがった。これまで日本での訳本は、現行の岩波文庫3巻本をはじめ、最終版から翻訳がなされている。ただその後の版の「改訂」で、詩人が刺激的すぎると考えた詩行はけずられ、一部は説明的な合理化がなされてしまった。また、あまりに分厚い後の版本では、真に優れた作品が見えにくいという事情もある。『草の葉』初版(全1336行)に基づく初めての訳詩集。
ホイットマンの序文/〔ぼくは、ぼくを祝福する、〕/〔ぼくに近寄れ、〕/〔時間について考える……過去を顧みて考える、〕/〔ぼくは夜ずっとまぼろしを見てさまよう、〕/〔男たち女たちの体はぼくを包囲する、ぼくはそれらを包囲する、〕/〔舗道を散歩しまた田舎の脇道を乗り進むと、そこに顔たちがある、〕/〔若者がその兄からの伝えをもってぼくのところにきた、〕/〔にわかに生気なく物憂いねぐらから、奴隷たちのねぐらから、〕/〔そこ道をあけろ! ジョナサン!〕/〔ひとりの子どもがいて毎日出かけた、〕/〔だれがぼくの教えを完全に学ぶか?〕/〔神話は偉大だ……ぼくもそれらを愉しむ、〕
内容説明
ぼくは、ぼくを祝福する、/ぼくの身につけるものを、きみも身につける、―アメリカ詩の始まりを告げる世紀の傑作、コンパクトな初版に基づく初の訳詩集。
目次
アメリカは過去を拒絶しない
ぼくは、ぼくを祝福する
ぼくに近寄れ
時間について考える…過去を顧みて考える、
ぼくは夜ずっとまぼろしを見てさまよう、
男たち女たちの体はぼくを包囲する、ぼくはそれらを包囲する、
鋪道を散歩しまた田舎の脇道を乗り進むと、そこに顔たちがある、
若者がその兄からの伝えをもってぼくのところにきた、
にわかに生気なく物憂いねぐらから、奴隷たちのねぐらから、
そこ道をあけろ、ジョナサン!〔ほか〕
著者等紹介
ホイットマン,ウォルト[ホイットマン,ウォルト] [Whitman,Walt]
1819‐1892。アメリカの詩人。1819年ニューヨーク州ロングアイランドに生まれる。父は農民・大工。初等教育を受けた後は、印刷工、教師、新聞記者・編集者、住宅建設などの仕事につく。民主党および自由土地党で政治活動。南北戦争中は首都と戦場で傷病兵の看護活動を行い、自らも健康を害す。首都で官吏の職を得る。73年、卒中をおこしニュージャージー州カムデンに移る。92年、死去
富山英俊[トミヤマヒデトシ]
1956年生まれ。東京都立大学大学院博士課程中退。現在、明治学院大学文学部教授。アメリカ詩研究、宮沢賢治研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。