始まりの本
物理学への道程

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  • サイズ B6判/ページ数 367p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622083658
  • NDC分類 420.4
  • Cコード C1342

出版社内容情報

物理学を語った名講演・随筆から精選したベスト・オブ・朝永振一郎。一歩づつ学びを深めたいと願う者にとっての灯台のような文章群。

「光子の裁判」「鏡の中の物理学」などの著名な作品から、知る人ぞ知る佳品「思い出ばなし」「量子力学の曙」まで、朝永振一郎の必読作に一冊で出会える新編集本。話題は原子論の黎明にはじまり、よりミクロの次元へと沈潜し、くりこみ理論の着想にまで及ぶ。教育論(「数学がわかるというのはどういうことであるか」他)も含め、著者の遺産が立体的に浮かび上がるように編纂されている。
 俊才であった朝永も、山の威容に圧倒されながら一足一足進む登山者のごとくに自らの道程を歩んだことを、真率な言葉で語っている。「大それた学問などやろうと思ったのは結局やっぱりまちがいだった、といった想念がいつも心の底にこびりついている。そんなとき、東山荘の朝の礼拝から聞こえてくる讃美歌の甘美な声に意味もなく涙ぐんでみたり……」(思い出ばなし)。
 学問を深めたいと願う者にとっての灯台のような文章群だ。

内容説明

著者自身の道程が反映された“ベスト・オブ・朝永振一郎”。さりげない言葉で深く思考する12篇。

目次

1 物理の世界(原子論の発展(一九六二)
宇宙線の話(一九五五)
光子の裁判―ある日の夢(一九四九) ほか)
2 学問との出会い(思い出ばなし(一九六二‐一九六三)
量子力学の曙(一九七五)
座談 量子力学の衝撃と体験(一九七五) ほか)
3 教育について(数学がわかるというのはどういうことであるか(一九六一)
歴史と文明の探求(討議における発言)(一九七六)
座談 科学と知的好奇心(一九六五))

著者等紹介

朝永振一郎[トモナガシンイチロウ]
1906年、東京に生まれる。京都帝国大学理学部卒業後、理化学研究所研究員を経て、東京文理科大学教授。東京教育大学教授、同大学学長を歴任。「超多時間理論」「くりこみ理論」などの世界的業績を遺した。1965年度ノーベル物理学賞受賞。明晰かつ独創的な教科書や解説、優れた科学啓蒙書の著者としても知られる。1979年、没

江沢洋[エザワヒロシ]
1932年、東京に生まれる。1960年東京大学大学院数物系研究科修了。東京大学理学部助手。1963年米・独に留学。1967年帰国。学習院大学助教授、1970年教授、2003年名誉教授。理学博士。専攻は理論物理、確率過程論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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roughfractus02

6
みすず書房の著作集の物理、学問、教育の3部門から著名な論文、エッセイ、座談を収録した本書で著者は、譬え話のように抽象的な物理の世界を語り、思い出を語るように著名な学者と交流しつつ量子力学が形成される様を辿り、数学が計算することでなく考えるための道具であるように、知識が社会や他と自己の関係をつなぐ道具となるような教育について語る。ディラックの多時間理論の欠点を補うために西洋の原子論的粒子概念に時間を入れる非西洋的な超多時間論を構築できたのは、戦時中に研究環境が他国と隔絶されていたから、という指摘が印象的だ。2022/04/14

kgbu

1
第二部の超多時間理論の誕生からくりこみ理論まで、あたりは、先日読んだ吉田伸夫の「光の場、電子の海―量子場理論への道」のほうがすっきりと歴史的流れを把握できるのかもしれないけれど、やはり当事者が語る話はその意図の披瀝が面白い。そして、朝永さん自身がそういう「物理学のアイデアの周辺事情」について興味をもっていたらしいのが面白かった。物理学が好きになれる本、なのかも。2014/06/17

0
率直にいって面白かった。根っからの文系で、「原子は電子と原子核と…」っていう初歩の初歩も知らなかったし、この本の理論も理解できないけど、読み物として面白い。朝永先生の思考、興味、研究生活が少し分かる。そして何よりも、宇宙とか物理とかがすこし身近に感じて、高校の物理の教科書で勉強してみたくなったのは、私でもビックリ。2014/11/29

人工知能

0
日本が誇る物理学者、朝永先生が書いたものがテーマ別に並べられた本書。有名な光子の裁判も収録されているが、これは文庫ですでに読んでいたので、飛ばし読み。面白かったのは「超多時間理論とくりこみ」の話と、鏡の中の物理学のはなし。朝永先生の語り口にはなんとも言えない趣と、含みの多さがあってとても好きだ。思い出ばなしもどこかで読んだけど、若かりし頃の朝永先生の心情が素直に吐露してあって面白い。2013/05/24

仮定体

0
飛ばし読みですけど、おもしろかった。「光子の裁判」は傑作。(ただし"ミツコ"ではない)2013/02/24

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