内容説明
明治のエリート豊太郎、故国喪失者となってエリスと暮らす?実在の南米移民の経験や「ディアスポラ」の世界文学がひもとかれるなか、主人公=作者・森鴎外のイメージは存分にゆすぶられ、未来はよりいっそう宙吊りに。ありうべき選択肢とともに読者に託される問いの数々。「あなたなら、どのような道を選んだと思いますか」。
目次
テクスト―森鴎外『舞姫』
第1回 南米の太田豊太郎(性欲につまずく;性教育の教材として;明治の浦嶋 ほか)
第2回 エリスの面影とともに生きる(豊太郎の恋、林太郎の恋;鴎外の晩年;エリーゼ・ヴィーゲルト(Elise Wiegert) ほか)
第3回 『舞姫』から一二〇年(『舞姫』の基本構造;「舞姫論争」;『罪と罰』と都市描写 ほか)
著者等紹介
西成彦[ニシマサヒコ]
1955年生まれ。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。専攻は比較文学、ポーランド文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おおにし
19
『舞姫』を読んだ多くの読者は太田豊太郎は妊娠したエリスをベルリンに残してさっさと帰国してしまった薄情者であると思うことだろう。私もそうだが著者はそれは誤った読み方だと指摘する。『舞姫』は豊太郎がベルリンを去って日本へ戻る途中、ベトナムで停泊中の船の中で書かれた回想録であり、帰国後の豊太郎のことは一切書いていない。そこを見落として豊太郎をひどい奴だと非難する権利は我々にはないと著者は言う。う~ん、確かにその通り。鴎外には豊太郎とエリスの一発逆転ハッピーエンドな後日譚をぜひ書いてほしかった。2022/05/12
スイ
6
面白いところもあったのだけど、 「豊太郎はエリスを捨てた、としか読めないのは浅すぎる!ドイツに戻って南米に駆け落ちしたかも知れないじゃないか〜そういう人も実際いたし〜」 というのは私にはあまりに無理矢理に感じられる…。2017/11/01
いくっち@読書リハビリ中
2
性欲につまづいた太田豊太郎、独逸美女を生涯忘れられなかった森林太郎。長文レビュー→http://www.honzuki.jp/book/203948/review/95753/2013/02/22
Kunio Hanaoka
0
学生時代にも思ってたんだけど、比較文学の立場からの視点って、作品そのものを深く読んでいく従来のアプローチとはちょっと違うんだ、ということを感じた。いいとか悪いとかではなく。2016/04/04
じゅじゅじゅ
0
完全に仕事のために読んだからつまらんとこは斜め読み〜 石炭をばはや積み果てつ。白鳥Tの朗読を思い出す。礼拝。2014/08/24