内容説明
エトナ火山の下に独特の歴史文化を有するマフィアの島。「紙の島」と呼ばれるほど多くの作家を生んだ、シチリアの百年の心を、選りすぐりの初訳作品で読む。
著者等紹介
武谷なおみ[タケヤナオミ]
神戸に生まれる。津田塾大学卒業。京都大学大学院博士課程修了。イタリア政府給費留学生としてローマ大学に留学。現在、大阪芸術大学文芸学科教授、イタリア文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
燃えつきた棒
32
フランシス・フォード・コッポラ監督の映画『ゴッドファーザー』製作の裏側を描いたドラマ「ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男」から、マフィアの故郷シチリアへとやって来た。 ドラマの方は『ゴッドファーザー』にまつわる数々のトリビアが散りばめられていて、一瞬たりとも飽きさせることがなかった。/ 「言語学」(レオナルド・ショーシャ): 【「(略)この言葉を記載した最初のシチリアの辞典は、一八六八年出版の、トライーナ辞典だ。(略)」 (略)➡︎2024/05/20
ぐっちー
17
《9月は紙上欧州旅行》シチリアを訪れたのは12年前。あの夏の記憶が蘇る。打ち捨てられたように赤く崩れた大地、内陸の町の乾いた空気、路地裏でイタリア語ともイスラム語とも違う言葉を話し、疑わしげに目を交わす老人達。その下に折り重なる支配の歴史。作品の中には歴史の英雄もあの独裁者も舞台には上がらない。市井の人の中に醸されていく物がゆらりと立ち上がってくる。頑迷で強権を持つ女、躊躇いなく銃を取る男、深く根を張った信仰心、社会への不審とファシスト、そしてマフィアの大いなる影。あの島をもっと理解したいと思った。2017/09/03
ぞしま
11
シチリアなアンソロジー。19-20C生まれの作家が(おそらく)年代順に味わえる。 イタリア文学というと北のイメージがあったが(というと南好きに反駁されるかもしれない)「紙の島」と言われるほどの作家がこの島で生まれてることを知らずにいた。 ヴェルガのヴェリズモやウモリズモのピランデッロなどをきくと、確かに一つの流れを感じることができたように思う。 本書にはピランデッロの作品が3つ収められてるが、どれも驚くほど良くかった。これから追っていきたいと思う。 2020/10/03
kibita
11
シチリアの自身のイメージと本作品の余りの違いにシチリア島について調べた。まずはシチリア自治州の州旗に度肝を抜かれ…地中海での要所として、様々な国によって支配され文化が融合した地中海性気候のエトナ火山がある島。何と表現したら良いか、、ファシズム、マフィアの原形である農地管理人等、重暗さ、力強さ、でも乾燥した風が吹いたり、灼熱の炎を感じたり…ともかく初体験でした。2020/07/22
OZAC
10
7人のシチリア出身作家の短編集。やはり一番面白かったのはシャーシャの作品だ。特に「撤去」はオチも絶妙。ピランデッロの「免許証」は、群衆の排他心理の恐ろしさを喜劇に仕立てた秀逸な作品で、劇作家ならではの場面の切り取り方に脱帽である。ヴィットリーニの「生への疑問」は14作品中最も短い作品ながらとても印象に残った。 2020/01/11
-
- 和書
- 基礎ビルマ語