出版社内容情報
第30回 大佛次郎賞受賞!
第57回「毎日出版文化賞」受賞
第1回 パピルス賞受賞
古代以来、もっぱら磁力によって例示されてきた〈遠隔力〉は、近代自然科学の誕生をしるしづける力概念の確立にどのように結びついていったのか。第2巻では、従来の力学史・電磁気学史でほとんど無視されてきたといっていいルネサンス期を探る。
機械論・原子論的な要素還元主義と、物活論・霊魂論的な有機体的全体論のふたつの自然観がせめぎあった古代ギリシャのあと、ローマ時代からキリスト教中世にかけては後者が圧倒的優勢を誇る。ではその次にくるルネサンスの時代に遠隔力の観念を担い、近代初頭へとひきついだものはいったい何だったのだろうか。ガリレイやデカルトの機械論哲学がアリストテレス‐スコラにとってかわる新哲学として現れて、科学革命をなしとげたなどという単純な図式は、とうてい成り立たないのではないか。
本書は技術者たちの技術にたいする実験的・合理的アプローチと、俗語による科学書執筆の意味を重視しつつ、思想の枠組としての魔術がはたした役割に最大の注目を払う。脱神秘化する魔術と理論化される技術。清新の気にみちた時代に、やがてふたつの流れは合流し、後期ルネサンスの魔術思想の変質――実験魔術――をへて、新しい科学の思想と方法を産み出すのである。
山本義隆(やまもと・よしたか)
1941年大阪に生まれる。1964年東京大学理学部物理学科卒業。同大学院博士課程中退。現在 学校法人駿台予備学校勤務。著書『知性の叛乱』(前衛社、1969)、『重力と力学的世界――古典としての古典力学』(現代数学社、1981)、『熱学思想の史的展開――熱とエントロピー』(現代数学社、1987)、『古典力学の形成――ニュートンからラグランジュへ』(日本評論社、1997)、『解析力学』Ⅰ・Ⅱ(共著、朝倉書店、1998)ほか。編訳書『ニールス・ボーア論文集(1)因果性と相補性』『同(2)量子力学の誕生』(岩波文庫、1999-2000)。訳書 カッシーラー『アインシュタインの相対性理論』(河出書房新社、1976、改訂版、1996)、同『実体概念と関数概念』(みすず書房、1979)、同『現代物理学における決定論と非決定論』(学術書房、1994)、同『認識問題(4)ヘーゲルの死から現代まで』(共訳、みすず書房、1996)ほか。
内容説明
古代以来、もっぱら磁力によって例示されてきた“遠隔力”は、近代自然科学の誕生をしるしづける力概念の確立にどのように結びついていったのか。第2巻では、従来の力学史・電磁気学史でほとんど無視されてきたといっていいルネサンス期を探る。本書は技術者たちの技術にたいする実験的・合理的アプローチと、俗語による科学書執筆の意味を重視しつつ、思想の枠組としての魔術がはたした役割に最大の注目を払う。脱神秘化する魔術と理論化される技術。清新の気にみちた時代に、やがてふたつの流れは合流し、後期ルネサンスの魔術思想の変質―実験魔術―をへて、新しい科学の思想と方法を産み出すのである。
目次
第9章 ニコラウス・クザーヌスと磁力の量化
第10章 古代の発見と前期ルネサンスの魔術
第11章 大航海時代と偏角の発見
第12章 ロバート・ノーマンと『新しい引力』
第13章 鉱業の発展と磁力の特異性
第14章 パラケルススと磁気治療
第15章 後期ルネサンスの魔術思想とその変貌
第16章 デッラ・ポルタの磁力研究
著者等紹介
山本義隆[ヤマモトヨシタカ]
1941年大阪に生まれる。1964年東京大学理学部物理学科卒業。同大学院博士課程中退。現在、学校法人駿台予備学校勤務
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