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磁力と重力の発見〈2〉ルネサンス

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  • サイズ B6判/ページ数 p305/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622080329
  • NDC分類 420.2
  • Cコード C1340

出版社内容情報


第30回 大佛次郎賞受賞!
第57回「毎日出版文化賞」受賞
第1回 パピルス賞受賞

古代以来、もっぱら磁力によって例示されてきた〈遠隔力〉は、近代自然科学の誕生をしるしづける力概念の確立にどのように結びついていったのか。第2巻では、従来の力学史・電磁気学史でほとんど無視されてきたといっていいルネサンス期を探る。

機械論・原子論的な要素還元主義と、物活論・霊魂論的な有機体的全体論のふたつの自然観がせめぎあった古代ギリシャのあと、ローマ時代からキリスト教中世にかけては後者が圧倒的優勢を誇る。ではその次にくるルネサンスの時代に遠隔力の観念を担い、近代初頭へとひきついだものはいったい何だったのだろうか。ガリレイやデカルトの機械論哲学がアリストテレス‐スコラにとってかわる新哲学として現れて、科学革命をなしとげたなどという単純な図式は、とうてい成り立たないのではないか。

本書は技術者たちの技術にたいする実験的・合理的アプローチと、俗語による科学書執筆の意味を重視しつつ、思想の枠組としての魔術がはたした役割に最大の注目を払う。脱神秘化する魔術と理論化される技術。清新の気にみちた時代に、やがてふたつの流れは合流し、後期ルネサンスの魔術思想の変質――実験魔術――をへて、新しい科学の思想と方法を産み出すのである。


山本義隆(やまもと・よしたか)
1941年大阪に生まれる。1964年東京大学理学部物理学科卒業。同大学院博士課程中退。現在 学校法人駿台予備学校勤務。著書『知性の叛乱』(前衛社、1969)、『重力と力学的世界――古典としての古典力学』(現代数学社、1981)、『熱学思想の史的展開――熱とエントロピー』(現代数学社、1987)、『古典力学の形成――ニュートンからラグランジュへ』(日本評論社、1997)、『解析力学』Ⅰ・Ⅱ(共著、朝倉書店、1998)ほか。編訳書『ニールス・ボーア論文集(1)因果性と相補性』『同(2)量子力学の誕生』(岩波文庫、1999-2000)。訳書 カッシーラー『アインシュタインの相対性理論』(河出書房新社、1976、改訂版、1996)、同『実体概念と関数概念』(みすず書房、1979)、同『現代物理学における決定論と非決定論』(学術書房、1994)、同『認識問題(4)ヘーゲルの死から現代まで』(共訳、みすず書房、1996)ほか。

内容説明

古代以来、もっぱら磁力によって例示されてきた“遠隔力”は、近代自然科学の誕生をしるしづける力概念の確立にどのように結びついていったのか。第2巻では、従来の力学史・電磁気学史でほとんど無視されてきたといっていいルネサンス期を探る。本書は技術者たちの技術にたいする実験的・合理的アプローチと、俗語による科学書執筆の意味を重視しつつ、思想の枠組としての魔術がはたした役割に最大の注目を払う。脱神秘化する魔術と理論化される技術。清新の気にみちた時代に、やがてふたつの流れは合流し、後期ルネサンスの魔術思想の変質―実験魔術―をへて、新しい科学の思想と方法を産み出すのである。

目次

第9章 ニコラウス・クザーヌスと磁力の量化
第10章 古代の発見と前期ルネサンスの魔術
第11章 大航海時代と偏角の発見
第12章 ロバート・ノーマンと『新しい引力』
第13章 鉱業の発展と磁力の特異性
第14章 パラケルススと磁気治療
第15章 後期ルネサンスの魔術思想とその変貌
第16章 デッラ・ポルタの磁力研究

著者等紹介

山本義隆[ヤマモトヨシタカ]
1941年大阪に生まれる。1964年東京大学理学部物理学科卒業。同大学院博士課程中退。現在、学校法人駿台予備学校勤務
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

70
第2巻はルネサンスの時代における磁力や引力がどのような意味を持っていたのかをじっくりわかりやすく説明してくれます。まだこの時代はこのような力というものは魔術ということで説明されていたような気がします。魔術思想というものが結構世の中を支配していたような時代だということなのでしょう。それとは別にこのような現象を地道に研究した人物もいたということのようです。2015/09/05

手押し戦車

18
重力と磁気は引き寄せる力がある。すべての答えがイエスになり、類は友を呼ぶ様にきっちり引き寄せる。自分の頭脳が磁気と重力の役割をして普段考えていることが習慣的に考えてイメージが湧き強く意識し始め口に出てくる。思考がすべての環境や状況を呼び寄せ身の回りに寄せ付けてくる。頭の中で考えたことに磁力が働き時間差があり時期が経つと状況が来る。重力の法則はどんな人が飛んでも地面に向かって落ちる。今現在の自分の環境はすべて自分の磁気と言う意識が引き寄せている。磁石はプラスならマイナス。2015/03/07

テイネハイランド

15
図書館本。磁力と重力という二つの重要な遠隔力についての(科学者/哲学者/技術者/魔術師/宗教家)の認識の変遷を追う全三巻本の二巻目。なるべくわかりやすく各人物の思想・業績などについて説明しようとする著者の意図が伝わってきます。巻末に出てくるイタリアの学者デッラ・ポルタの科学技術史上の貢献について客観的に述べている箇所は、著者の思い入れがそこはかとなく伺えてよかったです。この時代の歴史にも興味がでてきたので、関連本(『エラスムス=トマス・モア 往復書簡』など)についても読んでみたくなりました。2016/05/04

プラス3

7
スコラ哲学が学問を支配し科学者が存在しなかった時代に、科学を推し進めたのは合理主義の技術者・魔術師だったのでした。彼らの磁石に関する新たな発見と機械論的な理論・解釈が、徐々に宗教色を取り除いていきます。定量的な分析もこの時に始まったようですね。全3巻のうち、この2巻が一番おもしろかったし、著者が一番書きたかったことだと思う。2013/03/12

第9846号

7
磁力を廻る科学史の本。中世の逸話が沢山書かれていてそれを読むだけで楽しかった。魔術と思われ天空の力と考えられていた磁力を、職人さん達が経験に基づき地上の力量として具体化していく過程は、もどかしいながら文献(スコラ哲学)だけを頼りに全てを説明していた学術的権威を脅かす萌芽になる経緯とも重なり読みごたえありました。2012/02/05

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