出版社内容情報
人生の紅葉期=老年には独自の美が開く。トルストイや田中正造など、残り時間でなすべきことをなすために生を濃縮させた人の実践とは
老年期には生がせっぱつまって濃縮し、ここから生み出される作品や収穫は、しばしば若者を圧倒する。ゴヤの老醜をさらけだした鉛筆画に稀にみる独特の美があるように。そして人生の紅葉期は、醜・弱・衰に襲われながら、地熱のような陽気さが必要である。ロシア文学研究の碩学が、最期まで自己の真実を過激に追い求めた人々の姿を追う。
?T 人生の紅葉期
第一話 いのちの幅、常識の幅
第二話 他人の国で
――ムスフェルト先生の思い出
第三話 座ったままで
第四話 浦島太郎の死体――チェーホフ・里見惇
第五話 「これでも私は学ぶ」――ゴヤの紅葉
第六話 レンブラントの思い出
第七話 アヴァクームのパン
第八話 手作りの翼――三浦父子遠望
第九話 いのちの円さについて――木食
?U トルストイ82歳
内容説明
老年期=人生の紅葉期には生がせっぱつまって花開く。命の個性の幅は、常識の幅より広いのだ。円く老いた木喰と、安らぎを拒否したトルストイと。老年の自治権を独創的に使い尽くし、紅葉人になるための人生の使用法を、ロシヤ文学研究の碩学が迫った。
目次
1 人生の紅葉について(命の個性;「これでも私は学ぶ」―老人ゴヤ;レンブラントの二つの顔;アヴァクームの黒パン;「年をとってはいけません」―ムスフェルト先生の思い出 ほか)
2 トルストイ八二歳(「心の安らぎは精神的卑劣さです」;「神はここに、この絞首台に吊るされておられる…」;「ほら、人間の姿をした悪魔がいる」;「死を希ふことなく、生を求むること勿れ」;「ひょっとしたら死ぬ。いいことだ」 ほか)
著者等紹介
武藤洋二[ムトウヨウジ]
1939年9月30日生まれ。大阪外国語大学ロシア語学科卒業。大阪外国語大学ヨーロッパ1講座教授をへて現在同大学名誉教授。主として帝政ロシヤとソヴェトを拠点にして人間を追っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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