“和解”のリアルポリティクス―ドイツ人とユダヤ人

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“和解”のリアルポリティクス―ドイツ人とユダヤ人

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  • サイズ B6判/ページ数 257,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622079217
  • NDC分類 319.340
  • Cコード C1036

出版社内容情報

戦後、ドイツ人とユダヤ人の和解を可能にしたリアルポリティクスとは何か。国益と償いの理性的競合が生んだ戦後補償のモデルに迫る。ヒトラー政権下600万ものユダヤ人を虐殺したドイツは、連合国の占領を経て1949年ドイツ連邦共和国として再生した。その前年、ホロコースト生存者らユダヤ人の国イスラエルが建国された。和解などありえないと思われた両国の関係はしかし、長く困難な過程を経て、現在は良好である。
そのためドイツの過去の克服は世界中で参照され、首都中心街へのホロコースト記念碑建立等が姿勢の真摯さを印象づけた。
しかし、和解を可能にしたのは道徳的に無欠の謝罪や反省ではない。むしろ国益と償いの理性的競合であり、それが犠牲者への補償やナチ犯罪者訴追の徹底へつながり、ヘイト行為への態度を固め、歴史修正主義を乗り越えさせた。このようなドイツ=ユダヤ関係の核心を、本書はリアルポリティクス(現実政治)と位置づけている。
そして現在、当事国による過去との格闘からは、ホロコーストの記憶のグローバル化とも言える現象が生じている。毎年のように新しいホロコースト映画や小説が作られ、記念館や収容所跡に観光客が押し寄せる。ホロコーストに何の関係もない米国の高校生までが600万個のクリップを集めることで犠牲の巨大さを実感しようとする。
こうしたことは一体何を意味しているのか? 後世の歴史認識に輪郭を与えるのは現在の我々である。本書は、和解の実相に批判的かつ実証的に迫りつつ、記憶の継承から派生する新たな問題も示している。

はじめに

【第1部】 ドイツとイスラエルの〈和解〉
第1章 対イスラエル補償
集団的補償とは/ホロコーストとイスラエル建国/ドイツ政府の対応/補償をめぐる国際政治/国家賠償としての補償/補償とパレスチナ問題

第2章 国家的軍事支援
武器を求めて/モサドとドイツ連邦情報局(BND/加害者と犠牲者の現実主義/ドイツの潜水艦とイスラエルの核

【第2部】 ユダヤ人マイノリティ社会の復活
第3章  アファーマティブ・アクションの政治
ユダヤ人の法的地位/帰国への動機づけ/ドイツ人とユダヤ人の境界――「ドイツ民族所属性/ユダヤ人を呼び込む――旧ソ連からの移住/共同体存続の財政基盤/「非特権的第三者」――ムスリム労働移民

第4章 刑事処罰とつくり出される社会規範
法的・政治的前提/イスラエル―「ユダヤ民族に対する犯罪」/ドイツによる訴追/ヘイトクライム、ヘイトスピーチ/ホロコースト否定の禁止/修正主義と「公的な歴史」/教育現場で/ヨーロッパの方向性/デムヤニュク裁判以降――新たな解釈と新たな裁判

【第3部】 記憶
第5章 犠牲者の記憶
メモリアル・ブックの編纂/イスラエルへ移植される記憶/ヤド・ヴァシェムの設立/ホロコーストの「教訓」/体感される記憶/想起のパフォーマンス

第6章 加害者の想起
犠牲者は自ら追悼した/見えなくなる過去/犠牲のナラティブ/「不在」の発見/国家化される想起/世界的記憶レジームの構築

第7章 記憶のその先へ
ホロコースト証言(テスティモニー)/ポストメモリー/過去を詐称する人/真正さとフィクション/未来の記憶

おわりに


索引

武井彩佳[タケイアヤカ]
早稲田大学第一文学部史学科卒業。同大学より文学博士取得。専門はドイツ現代史、ユダヤ史、ホロコースト研究。学習院女子大学国際文化交流学部准教授。著書に『戦後ドイツのユダヤ人』(白水社2005)、『ユダヤ人財産はだれのものか――ホロコーストからパレスチナ問題へ』(白水社2008)、『〈和解〉のリアルポリティクス――ドイツ人とユダヤ人』(みすず書房2017)、訳書にダン・ストーン著『ホロコースト・スタディーズ――最新研究への手引き』(白水社2012)、監訳書にウェンディ・ロワー著『ヒトラーの娘たち――ホロコーストに加担したドイツ女性』(明石書店2016)がある。

内容説明

ホロコースト加害者と被害者を和解させたのは、道徳上無欠の謝罪ではなく国益と償いの理性的競合だった。後世の歴史認識を形成した現実政治の実証的検証。

目次

第1部 ドイツとイスラエルの“和解”(対イスラエル補償;国家的軍事支援)
第2部 ユダヤ人マイノリティ社会の復活(アファーマティブ・アクションの政治;刑事処罰とつくり出される社会規範)
第3部 記憶(犠牲者の記憶;加害者の想起;記憶のその先へ)

著者等紹介

武井彩佳[タケイアヤカ]
早稲田大学第一文学部史学科卒業。同大学より文学博士取得。専門はドイツ現代史、ユダヤ史、ホロコースト研究。現在、学習院女子大学国際文化交流学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

飯田健雄

47
第7章まであるが、いずれの章も重い。ホロコーストに関する書物は、ため息をつく。特に、第7章の「ポスト・メモリー」という概念には考えさせられた。悲劇は、詐称すること自体、許されるということだ。強制収容所を描いた自伝が数々の賞を授与されたが、歴史的事実ではなかった。歴史に投企する「なりすまし」は、フィクションを通じて事実(虚構としての歴史)に近づく。こうなると、南京虐殺も慰安婦問題も、私は右翼ではないが、中国、韓国の国家的意志としての「未来への記憶」かもしれない。社会科学という学問を学ぶ上での良書だった。2017/08/08

Toska

11
ユダヤ人への真摯な謝罪が評価される一方、イスラエルべったりの姿勢で評判の悪いドイツ。これらは同じコインの表裏であることが理解できる一冊。イスラエルの安全保障に対するドイツの関わりは意外なほど深い。だが、戦後凄まじい逆風の中でスタートした独以両国にとり、この共闘はある種の必然だった。本書はその背景を分かりやすく解き明かしてくれる。一方で、イスラエルだけを相手に「リアル」を追い求めたドイツは、パレスチナ問題への道義的な責任を負ってはいないのか?という厳しい問いかけも。2024/02/11

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