出版社内容情報
20世紀のオースティンと呼ばれるイギリス女性作家の傑作長編小説。ロマンスに憧れる33歳マダムの揺れる心を、一級のユーモアで描
20世紀のオースティンと呼ばれるイギリス女性作家の傑作長編小説。定年退職小説『秋の四重奏』で日本の読者を獲得し、おひとりさま小説『よくできた女』で多くの女性読者の共感を得たピムの独壇場である。戦後も少し落ち着いたロンドンを舞台に、単調な暮らしにちょっと退屈しロマンスに憧れる33歳のウィルメットの揺れる心を一級のユーモアで描き、おかしくも切ない結末まで飽かせない。
内容説明
『秋の四重奏』から日本でも愛読者を得たバーバラ・ピム。『幸せのグラス』は、おひとりさま小説『よくできた女』とともに前期喜劇の双璧をなす長編である。語り手をつとめるヒロインは、戦後ロンドンの高級住宅街で役人の妻として何不自由ない生活を送る、33歳の美しきウィルメット・フォーサイス。しかし実のところ彼女は人生に退屈している。そこに現れたのが謎めいた美男子ピアーズ。酒癖が悪く、危なっかしい彼に心惹かれるウィルメットは、自分の不倫願望には無自覚のまま「ピアーズ改良計画」の名分のもと彼に接近してゆく。どこまでも軽やかな筆致で彼女の関心や悩みを語りながら、ウィルメットが欠点だらけのうぬぼれたダメ女にもかかわらず、読者に彼女を憎ませない手法は、20世紀のジェイン・オースティンと呼ばれるピムの上手さ全開である。生誕百周年を過ぎた今日に至るまで人気は衰えず、研究者・批評家によるピム論も跡を絶たない。詩人フィリップ・ラーキンは『幸せのグラス』をピム作品のなかでもっとも巧緻な最高傑作とみなしている。
著者等紹介
ピム,バーバラ[ピム,バーバラ] [Pym,Barbara]
1913‐1980。イングランド・シュロップシャー州のオスウェストリーに生まれる。オックスフォード大学セント・ヒルダ・コレッジ卒業。1950年、『なついた羚羊』でジョナサン・ケープ社からデビュー。『よくできた女』で作家としての評価を確立して活躍しながら、60年代から70年代にかけて作家としては不遇となる。しかし1977年『タイムズ紙文芸付録』のアンケートにおいて「もっとも過小な評価を受けた20世紀作家」として脚光を浴び、その後、『秋の四重奏』などを出版した
芦津かおり[アシズカオリ]
京都大学文学部卒業、同大学大学院修士・博士後期課程修了。現在、神戸大学大学院人文学研究科准教授。イギリス文学。主にシェイクスピア劇を中心に研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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