出版社内容情報
『人生と運命』の作家、スターリン死後の作品を集成。社会主義体制下の困難な生と輝きを描いた歴史的証言にして20世紀文学の達成。
ワシーリー・グロスマンのほとんどの中・短篇小説を前期・後期に分けて集成。後期作品集は、著者が全体主義批判を強め、自由な思考と表現を深めていったスターリンの死(1953年)以後の作品を収める。広島に原爆を投下したアメリカ人パイロットたちを主人公に、兵士の苦悩と人道的責任の問題を描く「アベル」。戦時中、ソ連軍がナチから没収した絵画群を戦後ドイツに返還する前にモスクワで公開した展覧会で、ラファエロの聖母子像にユダヤ人絶滅収容所で会った母子を見出す表題作、死を目前にしたアルメニア旅行記など。
[第一部] 燐/アベル(八月六日)/キスロヴォーツクで/動物園/道/システィーナの聖母/ママ/永遠の休息/大環状道路で [第二部]「あなた方に幸あれ!」
内容説明
聖母子像はやがて、世界戦争の始まりを告げる水素爆弾を見るのだろうか。スターリン体制を批判し、社会から追いやられた日々にも、自由といのちの輝きを表現しつづけた作家の短篇・随想・旅行記を初集成。
目次
1 短篇小説・随想(燐;アベル(八月六日)
キスロヴォーツクで
動物園
道
システィーナの聖母
ママ
永遠の休息
大環状道路で)
2 アルメニアの旅(あなた方に幸あれ!(旅の手記から))
著者等紹介
グロスマン,ワシーリー[グロスマン,ワシーリー] [Гроссман,Василий]
1905‐1964。ウクライナ・ベルディーチェフのユダヤ人家庭に生まれる。モスクワ大学で化学を専攻。炭鉱で化学技師として働いたのち、小説を発表。独ソ戦中は従軍記者として前線から兵士に肉薄した記事を書いて全土に名を馳せる。43年、生まれ故郷の町で起きた独軍占領下のユダヤ人大虐殺により母を失う。44年、トレブリンカ絶滅収容所を取材、ホロコーストの実態を世界で最初に報道する。次第にナチズムとソ連の全体主義体制が本質において大差ないとの認識に達し、50年代後半から大作『人生と運命』を執筆、60年に完成
齋藤紘一[サイトウコウイチ]
1943年群馬県生まれ。東京大学理学部化学科卒。在学中に米川哲夫氏にロシア語を学ぶ。通産省入省後、課長・審議官を務める。93年退官後、ISO(国際標準化機構)日本代表委員、独立行政法人理事長等をへて現在、翻訳家。99年、通訳案内業免許(ロシア語)取得。訳書にグロスマン『人生と運命』(全3巻、日本翻訳文化賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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