出版社内容情報
プラハのバロックの特質を、劇的で複雑な歴史の襞に分け入り、人々の精神性から解き明かす、日本で唯一の研究書、魅力的な紹介の書。
プラハを訪れる観光客の目を楽しませるバロックの遺産。チェコの暗黒時代の象徴とされ、本格的研究は本国でも始まったばかりのプラハのバロックの特質を、劇的で複雑な歴史の襞に分け入り、人々の精神性から解き明かす、日本語で書かれた唯一の研究書、魅力的な紹介の書。戦禍による荒廃から復興へ。復活への祈りを画布に、石に刻みつけたバロック的メンタリティーが今、明らかに。図版217点。
まえがき
序章 敗者のバロック――プラハ・バロックの背景
一 三〇年戦争と「白山の戦い」/二 対抗宗教改革と再カトリック化/三 イエズス会/四 カトリシズムとプロテスタン ティズム/五 ゴシックとバロック/六 闇と光/七 プラハの地霊/八 忘我と正気
第一章 動性
一 楕円/二 ドラマ/三 幻
第二章 迷宮
一 コメンスキー/ 二 バルビーン/三 ヴァルトシュテイン/ 四 迷宮庭園
第三章 受難
一 「瞑想(泣く女)」/二 「ピエタ」/三 「カルヴァリア(ゴルゴタ)」/四 「聖ルトガルディスの幻」/ 五 「アトラス」
第四章 伝説
一 「勝利の聖母マリア」伝説/二 ロレタ伝説/ 三 「プラハの幼子イエス」伝説/四 聖ヤン・ネポムツキー伝説/五 聖サルヴァトール伝説
第五章 越境
一 敷居/二 移動/三 世界
終章 バロックの受難と復活 ――プラハ・バロックの遺産
一 荒廃と復興/二 葬られるバロック/三 蘇るバロック
補章 プラハ・バロック探訪――プラハ・バロックの遺産を巡る
一 城地区/二 小地区/ 三 カレル橋/四 旧市街/五 新市街/六 その他の地区
主要参考文献一覧/図版および出典一覧
あとがき
人名索引
内容説明
自分の立っている世界が根底から覆されてしまった時代の根源的な不安、不確実性の感覚、そして確実性への希求。闇と光、ドラマ、幻、迷宮、越境、伝説…プラハのバロックを豊かに展覧する。
目次
序章 敗者のバロック―プラハ・バロックの背景(三十年戦争と「白山の戦い」;対抗宗教改革と再カトリック化 ほか)
第1章 動性(楕円;ドラマ ほか)
第2章 迷宮(コメンスキー;バルビーン ほか)
第3章 受難(「瞑想(泣く女)」
「ピエタ」 ほか)
第4章 伝説(「勝利の聖母マリア」伝説;ロレタ伝説 ほか)
第5章 越境(敷居;移動 ほか)
終章 バロックの受難と復活―プラハ・バロックの遺産(荒廃と復興;葬られるバロック ほか)
補章 プラハ・バロック探訪―プラハ・バロックの遺産を巡る(城地区;小地区 ほか)
著者等紹介
石川達夫[イシカワタツオ]
1956年東京生まれ。東京大学文学部卒業。プラハ・カレル大学国費留学の後、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。広島大学助教授・神戸大学教授を経て、専修大学文学部教授・神戸大学名誉教授。スラヴ文化論専攻。著書『マサリクとチェコの精神』(成文社、1995、サントリー学芸賞および木村彰一賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。