出版社内容情報
庭づくりの実践に導かれた大胆な環境観が思想・建築・芸術分野にも刺激を与えているフランスの庭師クレマンの代表作。カラー120頁
内容説明
できるだけあわせて、なるべく逆らわない―これが現代造園の世界に新たな一ページを開いた庭師、ジル・クレマンの哲学である。荒れ地での植物のふるまいをモデルとし、土地を土地のダイナミズムにゆだねつつ、植物を知悉する庭師の手によって多彩で豊かな進化をうながすプロジェクト、それが「動いている庭」だ。クレマンは自邸である「谷の庭」で実験と観察を重ねながら、種の多様性、さまざまなエネルギーの混在、美が展開する庭づくりの技術と管理方法を見いだしてゆく。クレマンにとって、庭は人が驚きと出会う空間、庭の仕事は夢の光景を創り出す営みだ。だからここに収められた文章と写真は、夢を見るために試行錯誤をくりかえす庭師の、思索と実践の記録でもあるだろう。本書は、庭づくりの手引きを越えた、自然と人間の関係をめぐる知恵の宝庫である。クレマンの思想は、生命のゆらぎのなかに生きるわたしたちに多くの示唆をもたらすだろう。
目次
秩序
エントロピーとノスタルジー
奪還
荒れ地
極相
動いている庭
実験
ずれ
放浪
アンドレ・シトロエン公園の七つの庭
新たな動いている庭
動いている庭と共通点をもつ庭
野原
サン=テルブランのジュル・リフェル農業高等学校
動いている庭から惑星という庭へ
著者等紹介
クレマン,ジル[クレマン,ジル] [Cl´ement,Gilles]
1943年フランス、クルーズ県生まれ。庭師、修景家、小説家、植物にとどまらず生物全般についての造詣も深く、カメルーン北部で蛾の新種(Bunaeopsis clementi)を発見している。庭に植物の動きをとり入れ、その変化と多様性を重視する手法はきわめて特異なもの。現在、ヴェルサイユ国立高等造園学校名誉教授
山内朋樹[ヤマウチトモキ]
1978年兵庫県生まれ。美学・庭園史研究、庭師、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程指導認定退学の後、関西大学ほか非常勤講師。ジル・クレマンを軸に現代ヨーロッパの庭や修景をかたちづくる思想と実践を考察しつつ、その源泉を近現代の庭園史に探っている。また、在学中に庭師をはじめ、研究の傍ら独立(草木の使代表)。京都を中心に関西圏で庭をつくるほか、庭をとおして芸術祭への参加やフィールドワークなどをおこなう(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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